「ニセモノで売上減」米アマゾン出店者、中国生産者に不満
ネット通販大手のAmazonは、中国企業が直接、米国の消費者に販売できるようルールを緩和させている。その影響で、米国の出店店舗から、「ニセモノが出ている」ため、収益が下がっているとの苦情が出ている。伝えられるところによると、Amazon役員は、トップセラーに対応を厳しく迫られたという。
米CNBCによると、高級かばんブランド「マイケルコース」は偽のバッグがAmazonで売られていると苦情を出した。ほかにも、寝具販売会社「BedBand」は2015年度の売上が急落した要因は、中国製のコピー製品のためだと主張している。
多くの出店店舗は、Amazonが中国の生産者が直接、米国の小売り市場に入れるよう勧めたことで、ニセモノ流通問題が深刻化したと訴える。たとえば近年、Amazonは、中国からの小型製品の輸送料金を1ドル代の格安にした。
ニセモノを販売する悪徳業者に対して、Amazonは効果的な策を出していない。たとえ強制的に閉店させたとしても、業者は、次々と新たな名前で新規出店している。
報道によると、Amazonトップセラー300店が、Amazon役員との私的会合で、ニセモノの流通問題について対策を厳しく迫ったという。
CNBCの取材に対して、Amazonは、ニセモノの販売を認めていないとの回答を出した。「Amazonは市場で偽製品の販売を許可していないし、ニセモノはめったに流通しない。Amazonで注文するいかなる顧客も私たちの保証内容にあてはめられ、もしニセモノが届けば、私たちはその製品を返却するか、交換する」。
Amazonは昨年、初めて1000億ドルの収益を上げた。これは米国の電子商取引(EC)の40%に達する。
中国でニセモノ流通は公然の秘密? 創業者も公言
中国生産者のニセモノ作りは、いまや公然の秘密となっている。中国のEC最大手アリババ集団創業者・馬雲(ジャック・マー)氏は最近、中国国内で作られた国際高級ブランド品の模倣品は「本物より良くて、値段も手ごろだ」と発言した。これについて、模造品の国際対策機関は「無責任だ」と、こぞって馬氏を非難した。
国内でも、アリババ集団の運営する個人間取引(CtoC)サイト「淘宝網(タオバオ)」で、「偽物がこんなにたくさん売られているのは、馬氏が後推してるからだ」「良い物なら、なぜ堂々と自分のブランドとして出さないのか」などと、馬氏の生産業に対する姿勢を批判する声があがった。
古代中国の思想家・孔子は「己所不欲,勿施於人(自分がよく思わないことは、他人にもしない)」と説いた。この道徳感が今日まで引き継がれれば、「Made in China」イコール「粗悪品」のレッテルが貼られることはなかったかもしれない。
(翻訳編集・佐渡 道世)