サムスン電子が研究費削減 18年ぶり

韓国のサムスン電子が財政悪化の立て直しを図るため、1998年のアジア通貨危機以来、18年ぶりに研究開発費の大幅な削減を行った。

今年に入り同社はすでに2480人のリストラを実施したほか、44カ所の研究センターを41カ所まで削減した。米国の電子材料研究開発センターと情報技術応用研究開発センターも相次いで閉鎖した。

同社の権五鉉(クォン・オヒョン)最高経営責任者(CEO)は社員に向けた年頭のあいさつで、メモリチップとスマートフォン市場の競争が世界的に激化したことで、16年には同社を取り巻くビジネス環境がさらに困難になるとの見方を示している。

サムスン電子が先ごろ発表した15年の第4四半期決算および年間決算によると、15年の同社モバイル部門の売り上げは103兆5500億ウォン(約10兆3550億円)で、前年比7.3%減。営業利益は10兆1400億ウォン(1兆140億円)で、前年比30%減という結果だった。

今後予想される市場競争の更なる激化、需要の低迷などを考慮すると、同社はスマートフォンやタブレットの今年の販売台数について、いずれも1ケタの成長にとどまるとの予測を立てている。

こうしたことから同社は新興分野の育成に力を入れている。バーチャル・リアリティー(仮想現実)分野に投資し、実際にバーチャル・リアリティー体験ができる頭部装着ディスプレイ「Gear VR」も発売している。また、自動運転車の技術開発部門を新設、パナソニックやセアト(スペインの自動車メーカー)、BMWなどと関連分野での提携を進めている。

(翻訳編集・桜井信一)

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