米アップル社の電子決済アップルペイのサービスが2月18日中国国内で開始した(大紀元資料室)

アップルペイ中国進出 電子決済業界「3国時代」へ

米アップル社の電子決済サービス「アップルペイ」が2月18日午前5時から中国国内でサービスを開始した。アジアで初めての試みだ。アップルは今後、「支付宝」(アリペイ)など中国国内ですでに利用されている電子決済業者との競争が激しくなると予想される。

19日国内紙「上海証券報」によると、18日1日だけで約3000万枚以上の銀行カードやクレジットカードが同サービスにバインディングされた。また銀行カードやクレジットカードとのバインディング登録が急増したため、一部の利用者からスムーズにサービスへのカード登録ができないとの苦情があったという。

アップル社は中国工商銀行や建設銀行など、国内19の大手銀行と提携している。中国で利用されているクレジットカードとデビットカードのうちの8割がアップルペイを通じて決済を行えるとみられる。アップル社は、中国が同サービスの最大の市場となるとの見通しを示した。

中国国内では電子商取引最大手のアリババ傘下の「アリペイ」と、無料チャットアプリ「微信」(ウィチャット、WeChat)を展開するIT大手騰訊傘下の「微信支付」(ウィチャットペイメント、WeChat Payment)が国内電子決済市場の圧倒的なシェアを占めている。決済サービスのほか、タクシー予約、ネットショッピング、資産運用、電気・水道などの料金の支払い、チャリティー募金など多くの事が利用できる。中国インターネット情報センターによると、国内では約3.58億人の人が携帯電話でネットショッピングを利用し、ほぼすべてが「アリペイ」か「微信支付」を通じて決済しているという。アップルペイのサービス開始で、今後中国電子決済市場は「3国時代」に突入するとみられる。

「アップルペイ」が中国での利用者を拡大するにはいくつかの難題を解決しなければならないと専門家は指摘する。中国銀行ネット金融部の董俊峰氏はこのほど、ポータルサイト「新浪網」に投稿した評論記事で、米国では「アップルペイ」が銀行カードやクレジットカードを発行する金融機関に対して決済手数料を徴収する決まりがあるが、中国ではこのようなビジネスモデルは存在しないとの問題があると指摘した。また商店側では利用客に対していかにアップルペイの利用を促すかが不透明だ。アリペイでは商店側に対して二次元バーコードをスキャンすることで一定の金額がもらえる優遇策やクーポン券をバインディングできるサービスを提供している。さらに、消費者側ではアップルペイの利用はアップル社のスマートフォン「アイフォン」を持つ顧客のみに限られており、また新型「アイフォン」に好んで買い替えする若い人の消費力がどれほどあるのかが問題だとの見解を示した。

アップルペイは現在アイフォン6、アイパッドおよびアップルウォッチのみに対応している。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。