薬用風呂は、古人の知恵の結晶であり、生薬と温浴の効果を合わせて、さまざまな病気に安全かつ有効な治療効果を発揮します。健康維持の養生法としても効果的です。
中国には、紀元前2世紀の墳墓、馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)から出土した『五十二病方』には子供のてんかんを治療する薬用風呂の方法が載っています。2千年前に編集された『礼記』の中にも「頭に瘡があれば浴し、体に瘍があれば浴す」という記載があります。
入浴法には全身浴、半身浴、足浴などがあり、いずれも生薬を煎じた薬液を適量の温水に入れてよく混ぜます。全身浴はかぜや皮膚病、リウマチなど全身性症状がある疾患に適応します。半身浴は婦人科疾患や冷え症、男性の性感染症とインポテンツ、早漏などに用います。足浴は足の皮膚病や心身の疲労回復、下肢の末梢循環障害などに使われます。
風邪に全身浴
薄荷(はっか)15グラム、荊芥(けいがい)15グラムを水1リットルで2分間煎じてから、濾した薬液を浴槽に入れて全身浴をします。1日1回入浴し、入浴後は寒さや風にさらさないように気を付けましょう。
高血圧症に半身浴
豨薟草(きれんそう) 15グラム、羅布麻(らふま、バシクルモンの葉)20グラム、夜交藤(やこうとう)15グラム、牡蠣(カキの殻)30グラム、呉茱萸(ごしゅゆ)10グラムを水3リットルで40分煎じた後、濾した薬液を浴槽に入れて適量の温水と混ぜて入浴します。入浴の時、下半身は湯の中につかり、上半身は湯に浸したタオルで洗います。1回は20分、1日2回入浴すると、より効果があります。
打撲に局部浴
蘇木(そぼく)15グラム、松節(しょうせつ)10グラム、赤芍薬(せきしゃくやく)15グラム、紅花(こうか)10グラム、没薬(もつやく)15グラムを水3リットルで30分煎じた後、洗面器に濾した薬液を入れ浸したタオルで患部を洗います。1回20分、1日2回行います。
女性の骨盤内感染症
木鼈子(もくべつし)15グラム、黄柏(おうばく)12グラム、苦参(くじん)15グラム、山帰来(さんきらい)30グラム、蒲公英(ほこうえい)30グラム、金銀花(きんぎんか)20グラム、白芷(びゃくし)6グラム、赤芍薬(せきしゃくやく)6グラム、甘草(かんぞう)12グラムを水3リットルで30分煎じた後、濾した薬液を浴槽に入れて適量の温水と混ぜて半身浴をします。1回30分、1日2回行い、30日間継続します。
注意事項
一般的に薬用風呂の入浴時間は食前30分か食後1時間、水温は40度から45度で、入浴前後に適当に水分を取ります。入浴前にシャワーで体を洗い、入浴後は水で洗い流す必要はなく、直接体を拭いて乾かします。
心臓病患者や体が弱い方は入浴時間を10分以内にした方が無難でしょう。入浴後に皮膚が軽い発赤や刺すような痛み、30分から1時間ぐらい持続する発汗、皮膚に小さな隆起状発疹などがあっても、効果が現れた反応なので、手当てをする必要はありません。
また虚弱体質の方は入浴後に全身の脱力感、動悸、吐き気、めまいなどの症状がありますが、正常な反応なので、入浴時間を少しだけ短縮します。入浴によって体質が整ったら、これらの症状も自然に消えていきます。
禁忌
強い皮膚アレルギーの患者、出血性症状がある患者、月経期、妊娠中、産後7点xun_ネ内の方、心肺肺機能不全、心筋梗塞、重症狭心症、大動脈瘤、皮膚に傷がある、開放骨折などの患者はこの方法を使わないで下さい。
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