食品製造の裏側 恐ろしい食品添加物

【大紀元日本11月15日】安くて、美味しく、便利なファーストフード。値段の手頃さや便利さから大変人気があるが、果たして安全な食品なのだろうか。

加工食品の実態を暴いた著書『食品の裏側』の中で、安部司(あべ・つかさ)氏は次にように記す。

「廃棄寸前のクズ肉も30種類の『白い粉』でミートボールに甦る」

「コーヒーフレッシュの中身は、水と油と添加物だけ」

「水で増量し『雑巾ハム』と呼ばれる、特売ハム」

「『殺菌剤』のプールで何度も消毒するパックサラダ」

本書を執筆した安部氏は、食品添加物の商社に勤めるトップセールスマンだった。「添加物のソムリエ」「添加物の神様」と呼ばれるほど添加物に詳しい彼は、100種類以上の加工食品を開発し、驚くほどの販売業績をあげた。ところが、彼はその商社をやめ、加工食品の裏側を暴露する本を出版するに至ったのである。そのきっかけは、ある出来事であった。

ある日、自分が販売した添加物のたくさん入ったミートボールを、娘が美味しそうに食べている光景を偶然目にした。その時、自分が作った加工食品を自分の子供には食べさせたくないと思ったという。自責の念が生じた安部氏は、会社を辞めることを決意し、添加物の真実を伝える道を選んだ。

ジャムとハンバーガー

安部氏によると、「豆腐やコンニャクなどの一部の食品は、凝固させるための添加物を入れないといけないが、多くの添加物は必要ではない」という。彼は、工場でジャムを作る秘密を紹介した。工場では毎年台風で落ちたリンゴを安価で大量に買い取り、粘着性を生み出すイモ類、でんぷん、調味剤などを加えジャムを作る。イチゴやアンズなどのジャムも同様な作り方だという。

イチゴジャムの製造に使われるのは、凝固剤である塩化カルシウム、さらに色素、濃イチゴ味の合成香料のほか、変色等を避けるために4種類の粘着性を強める増粘安定剤を入れ、最後に防腐剤を入れる。こうして作られたイチゴジャムの主要成分は、もうはやイチゴではないのだ。

もう一つの例は、ハンバーガー。ハンバーガーは、脂肪値

大量の添加物を含むハンバーガー(PhilippeLopez/AFP)

が標準値を超えているほか、原材料も純粋ではない。牛肉ハンバーガーには牛肉が入っている、と思ったら大間違いだという。コスト削減のために、豚肉、馬肉、羊肉など様々な肉が混ぜられているほか、脱脂大豆も入っている。また、脱脂大豆と肉をよく接着させるために、さらに数多くの接着剤を入れる。こうして作られたハンバーガーには、70種類の添加物が含まれているという。

食品添加物の安全性

5年前、米国のドキュメンタリー映画製作者のモーガン

自ら添加物食品の実験を行い、記録映画「Super Size Me」に出演したモーガン・スパーロック監督(Dimitrios Kambouris/Getty Images)

・スパーロック(Morgan Spurlock)監督が、自ら出演した記録映画「Super Size Me」で、一日3回、30日間マクドナルドのファーストフードだけを食べ続ける実験を行った。始めるにあたり、スパーロック監督は3人の医師による健康診断を受け、身体的には平均以上であるとのお墨付きをもらった。ところが、マクドナルドのファーストフードを食べ続けて30日後、当時33歳で健康だったスパーロック監督は、体重が11.1キロ増えたたばかりか、18日目から、コレステロール値が168から225に急増し、その後、かなり深刻な肝臓の炎症や腹痛、嘔吐の症状をも見せた。医師は中毒症状だと説明し、早く実験を中止しなければ、命に危険があると警告した。

また、植物油から作られた「人造脂肪」は、動物脂肪より太りにくいと思う人も多い。それは安全だということで、油で揚げたインスタントラーメン、フライドポテトなどの袋詰めの食品や揚げ物にたくさん含まれているが、果たして本当に安全なのだろうか。調査によると、「人造脂肪」の一種である水素化油脂を10~15グラム摂った場合、100グラムのクリームカステラを食べるのと同じになってしまう。また、「人造脂肪」に含まれているトランス脂肪酸は、人体のコレステロール含有量を増加させ、動脈硬化などの疾病まで誘発するという。

加工食品の見た目を良くするため、工場では着色剤を使って色を付ける。しかし、植物の花、果実、茎と根部から汁を搾り取り、乾燥して作られた天然色素は、着色力が弱くコストも高いため、着色剤としてはあまり使われない。その代わりによく使われるのは人工合成の着色剤で、色はきれいに染まるが、健康に与える悪影響も相対的に大きくなる。

安部氏は、加工食品を食べなくなった子供たちは、体と性格に明らかな変化が現れたと話す。同氏によると、子供たちは以前のように焦ったり口論したりすることも少なくなり、成績も上がった。また、ファーストフードで簡単に済ませていた時と違い、早く食卓を離れることもなくなり、親との会話も増え、両親への関心と愛に感謝する気持ちを持つようになったという。

伝統的な飲食文化

食品添加剤の安全性について、安部氏は、「毒性及び発がん性の試験は

『食品の裏側』の著者で、食品添加物の専門家・安部司氏(本人提供)

すべてマウス等小動物によるもので、人体実験は行っていない。しかも、これまでそれらの安全性試験はすべて単一のものに対してのみ行われており、数十種類が混合された食品添加剤への安全性試験は行われていないことから、それぞれの数値だけでは、添加剤が安全だという判断材料として不足している」と指摘する。

一方、中国の飲食文化の中で、薬草治療法や食事療法は数千年の歴史を経て残されたものである。これらの貴重な資料は皆、長年の歴史を通して積み重ねられた経験であり、時間の試練を乗り越えたからこそ効果が高いし、使用方法を厳守していれば安全であるという。

伝統的な漢方薬の作り方は、弱火で「コトコト」と音がするように、クイレポットに入れてじっくり煮込むのだが、現代の漢方薬は本来の製造過程を大きく歪曲している、と安部氏は話し、漢方薬の伝統的な製造方法をも受け継くべきだと指摘する。安部氏によると、本来の調製方法から外れ、高温下で工業的大量生産された漢方薬は、本来の効果を果たさないばかりか、逆効果を招くかもしれないという。

安部氏は、食品添加物の使用によって、生活は簡単で便利になったが、貴重なものを失ったという事実は否定できないとして、食品添加物の不必要な使用に警鐘を鳴らした。

(文・浦慧恩、翻訳編集・柳小明)