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美と健康の穀物

抗がん・アンチエイジング・生活習慣病予防! ハトムギの効果的な食べ方

ハトムギは栄養価が高く、薬膳としても重宝される食品です。がん予防、筋肉の緊張緩和、関節炎の軽減、血圧・血糖・コレステロールの改善(いわゆるメタボリックシンドローム予防)、痛風予防、美白・アンチエイジング効果 など、多くの健康メリットが期待できます。

ハトムギは一般的には「ハトムギ米」や漢方に用いられます。タンパク質、多糖類、不飽和脂肪酸、ビタミン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、食物繊維 を豊富に含み、栄養補給にも優れた食材です。

さらに、ハトムギには多糖類、テルペノイド、フラボノイド、ステロール、生物アルカロイド などの生理活性成分が含まれており、抗酸化、抗炎症、血糖値や血中脂質の調整、がん予防、肝機能の保護、免疫力強化など、さまざまな健康効果が期待されています。

ハトムギの抗がん効果が注目される理由

ハトムギの持つ多くの健康効果の中でも、特に抗がん作用は注目に値します。また、炎症や化膿の改善にも役立つとされ、古くから薬として利用されてきました。中国の古書 『范汪方』 には、「肺の感染や咳、膿瘍(膿が溜まる症状)がある場合、高濃度の苦酒(発酵酒)でハトムギを煮て、温かいうちに飲むことで、肺の中の血が吐き出され、病気が治る」と記されています。これは、肺の炎症や腫瘍(肺がんを含む)に対する伝統的な治療法 として用いられてきたことを示しています。

現代医学の研究でも、ハトムギに含まれる多糖類が、肺がんの主要タイプである「非小細胞肺がん」の細胞死(アポトーシス)を誘導することを確認しています。 これにより、がん細胞の増殖を抑える効果が期待されます。

肺がんは、アメリカにおけるがん死亡率第1位の病気であり、5年生存率はわずか28%となっています。古代の知恵として、シンプルな方法で肺がんと向き合っていたことは、現代の研究と照らし合わせても興味深いものです。

さらに、ハトムギは乳がんや子宮頸がんなどの女性特有のがんにも効果があるとし、研究では結腸がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がんなどの増殖・転移を抑え、がん細胞の死滅を促すことを確認しています。そのため、がん治療の補助食品としても有望視しています。

ハトムギ(Shutterstock)

 

筋肉のこわばりや関節炎を和らげるハトムギの力

ハトムギには、筋肉をリラックスさせ、こむら返りや関節の痛みを軽減する 効果があります。特に、リウマチ性関節炎の症状を和らげるのに有効 です。中国の古典医学書 『神農本草経』 には、「ハトムギは筋肉のこわばりや痙攣(けいれん)、関節の動きの悪さ、リウマチによる痛みや炎症を改善し、体内の気の流れを整える」と記しています。これは、ハトムギが「風」や「湿」といった病気の要因を排出し、関節や筋肉の不調を改善する働きがある ことを意味しています。

東洋医学では、多くの病気は「風」や「湿」といった外部環境の影響を受けると考えられています。これらが体に侵入すると、気血(エネルギーや栄養)の流れが滞り、内臓の機能が低下し、水分代謝が悪化 します。その結果、むくみや疲労、炎症、関節の痛み などの症状が現れるのです。そのため、根本的に改善するには「湿」を取り除くことが重要 であり、ハトムギはその「除湿作用」が特に優れています。

高齢者や長時間座りっぱなしのデスクワーカーは、特に湿気が体に溜まりやすくなります。湿気が抜けないと、高齢者は腰痛や足のこむら返りを起こしやすくなり、デスクワーカーは肩や首のこわばり、慢性的な疲労、集中力低下に悩まされます。

こうした不調を改善するためには、食事にハトムギを取り入れるのが効果的です。次に、日常の健康管理や病気の予防に役立つ、簡単なハトムギの食べ方をご紹介します。
 

【ハトムギごはん】

最も手軽にハトムギを食べる方法は、普段のごはん(白米)に混ぜて炊くこと です。炊飯の前にひとつかみのハトムギを水に浸して柔らかくし、白米と一緒に炊く だけで、簡単にハトムギごはんが完成します。
 

【ハトムギミルク】— 美白&アンチエイジング

ハトムギミルク(ハトムギ浆)は自宅で簡単に作れます。作り方には2通りあり、ハトムギを煮てから攪拌(かくはん)する方法 と、水に浸して柔らかくした後に攪拌し、その後加熱する方法 があります。水とハトムギの比率は1対10〜15 が目安で、お好みで少量の砂糖を加えてもOK。市販品もあるので、手軽に取り入れることもできます。

東洋医学では、ハトムギミルクは体内の余分な湿気を排出し、健康維持に役立つと考えられています。週に1〜2回飲むのが理想的で、一気に飲まず、小口でゆっくり飲むことがポイントです。

さらに、多くの人が美しい肌を保ちたいと願っていますが、スキンケアだけでなく食生活の見直しが重要 です。栄養バランスの取れた食事は、肌のくすみを改善し、透明感をアップ させる効果があります。ハトムギミルクには、シミを薄くし、肌をなめらかにする作用 があります。また、ビタミンC・Eや抗酸化成分が含まれており、細胞の老化を抑え、肌にハリと透明感を与える 効果も期待できます。

朝食に卵焼きやサンドイッチと一緒にハトムギミルクを飲む と、より効果的に美容と健康をサポートできます。
 

「ハトムギ四神スープ」— 生活習慣病予防&痛風対策に!

中国の伝統的な漢方スープ「四神湯」は、茯苓(ぶくりょう)、芡実(けんじつ)、蓮子(れんし)、淮山(わいさん/山薬) という4つの生薬を使った人気の薬膳スープです。これらの食材はハトムギと同様に食薬同源(食品としても薬としても使える) であり、古くから健康維持のために用いられてきました。

特に、血糖値・血圧・コレステロールが気になる人(いわゆるメタボ)におすすめのスープ で、味も美味しく、健康効果も期待できます。さらに、関節の腫れや痛みがある人、海鮮を食べすぎて痛風が心配な人 にもぴったりです。

材料

ハトムギ(ヨクイニン) 30グラム、茯苓 25グラム、芡実 60グラム、蓮子 60グラム、淮山 30グラム、鶏もも肉(または鶏手羽) 1本、塩 少々、水 1800ミリリットル

作り方

  1. 鶏肉を小さく切り、熱湯でさっと下ゆでしておく。
  2. すべての材料を洗い、炊飯器に入れる。水1800ミリリットルを加え、スイッチを押す。炊飯器のスイッチが切れるか、20分ほど煮たら、塩で味を調えて完成。鍋で作る場合は、強火で沸騰させた後、弱火で20~30分煮る。

ハトムギに含まれる脂肪酸は、肝臓の余分なコレステロールの排出を促し、血中脂質を下げる効果があります。また、湿気を取り除く作用 により、関節の不調や痛風の緩和にも役立ちます。淮山(山薬)は、腎機能を高め、胃腸の調子を整えます。茯苓は、体内の余分な水分を排出し、むくみを軽減します。芡実は、消化を助け、腎臓の働きをサポートします。蓮子は、胃腸を健やかにし、下痢を防ぐ効果があります。そのため、「ハトムギ四神スープ」を定期的に飲むことで、体内の余分な湿気を排出し、胃腸を整え、免疫力を高めることができます。

夕食に「ハトムギ四神スープ」を作れば、家族全員の健康維持に役立ち、一石二鳥です。鶏肉の代わりにスペアリブを使うこともできますし、ベジタリアンの方はエリンギやとうもろこしに置き換えるのもおすすめです。

妊婦は避けるべき!

ハトムギには 「薏仁酯(よくいし)」 という成分が含まれており、子宮収縮を促す作用があるとされています。特に妊娠初期(3か月以内) は、流産のリスクがあるため、妊婦はハトムギの摂取を避けるようにしましょう。

「四神湯」に使われる漢方食材は、健康食品店やアジア系のスーパーで購入できます。ただし、体質によって効果が異なるため、服用前に専門医に相談することをおすすめします。

 

(翻訳編集 華山律)

王贺
胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。