大阪地裁、法輪功学習者の難民基準を初判断 弁護団、高裁に訴える方針
【大紀元日本11月12日】中国で弾圧を受けている気功「法輪功」の男性学習者が難民不認定と強制退去処分の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は11月5日、「難民には該当せず、在留を特別に許可すべき理由も見当たらない」との判決を下した。しかし同時に、「法輪功で何らかの積極的な行為を行い、中国政府に監視されるなど、帰国時に迫害を受ける恐れがあれば難民に該当する」と、山田裁判長は認定基準を示した。法輪功学習者に対する難民認定基準が示されたのは全国で初めてとなる。
原告側弁護団は、大阪地裁の認定基準に沿って高等裁判所に控訴する方針を表明した。
原告側弁護士は、「判決結果に関してとても残念に思う。一方、今回の判決で日本の裁判所が、中国では政府による法輪功迫害が存在し、しかも迫害が続いていることを認めた。画期的な進歩だと思う」と述べた。
原告の、大阪在住の中国人男性王さん(31)は1979年山東省栄成市に生まれ、1996年に母と祖母について法輪功の修煉を始めた。1999年7月法輪功弾圧が始まってから、2002年7月と2005年4月、2回にわたって当局に連行・拘禁され、留置所にいる間は殴打、体罰を受けた。釈放後は、勤務先から不当に解雇された。王さんの母親は2001年から2009年の間、計7回連行され、留置所で殴打されたうえ、現金を強制的に徴収されたという。2002年、勤めていた村工場を解雇された。家族の被害に、王さんの父親は路上で息子の以前の名刺を配り回るなど、精神状態に異常をきたした。
迫害を逃れるため、王さんは2007年4月に大阪に来たが、同年7月、不法滞在で収容された。
今回の難民不認定の判決について、原告側弁護士は、「2007年、大阪で収容された時、王さんが難民を申請したい旨をはっきりと述べていないことや、後日の記述に証拠が足りず信用しがたいところがある、というのが(不認定の)理由だった。しかし、捕まった時に王さんは日本語を喋れず、日本の難民認定制度も知らない状況で、はっきりと難民申請の旨を伝えるのは非常に困難だった」と話した。
5日の原告側の出廷者は、王さん、弁護士、法輪功学習者・張さんの3人。法廷内に私服姿の男女20人ぐらいと、廊下に同じダークスーツを着た男性6、7人がいた。いずれも、一般の傍聴者らしくはなく、中国領事館の者が裁判官にプレッシャーをかけるためにきたのでは、と張さんは推測している。
原告側弁護士は、「4月の法廷尋問の時も、同じダークスーツ姿の男性2人が途中でやってきて、30分後に退場して行った。着ていたスーツは領事館が配ったユニフォームの可能性がある」と述べた。
「日本に亡命してきた人は、中国を出るのに精一杯なので、客観的証拠を示せというのは不当だ。高等裁判所に控訴する方針だ」と同弁護士は意向を示した。
中国共産党による法輪功への大規模な迫害が始まったのは1999年で、今年で11年になる。酷刑や臓器狩りなど、数々の迫害による犠牲者は身元が判明しているだけで3415人となる。現在海外にいる法輪功学習者も一旦帰国すると、修煉を堅持するだけで迫害の危険にさらされることになる。