【大紀元日本8月14日】「不法就労助長罪」というのがある。読んで字のごとく、外国人が不法就労を行うのを「助長」するような罪のことである。
不法就労とは、外国人が許可のない資格外活動で収入を得たり、不法入国者やオーバーステイ等の者が就労することであり、このような人を雇用したり就労を斡旋したりすると、不法就労を「助長」したということで、冒頭の罪に問われる。
「助長」とは、孟子が語った「抜苗助長」(苗を引っ張って生長を助ける)の故事に由来する。
宋の国に、畑の苗がなかなか伸びないのを心配して、それを手で引っぱって伸ばした男がいた。男は、ぐったり疲れて家に帰ると、家族に、「今日は本当に疲れた。【苗を引っ張って早く伸びるように助けてやったよ】」と話した。それを聞いた息子が急いで畑に行って見ると、苗はすでにみな枯れてしまっていた。(『孟子』より)
この故事の【 】でくくった部分の中国語が「助苗長」で、「苗の生長を助ける」ということ。ここから「助長」ということばが生まれた。
この故事に由来するということから、「助長」は本来、マイナスの意味で使われたのだが、日本語では、「国際交流を助長する」のように、プラスの意味で使われることもあるようだ。(プラス用法は筆者には馴染みがないが。)
ところで、東京の池袋や歌舞伎町で売られている中国人向け新聞に、数年前から行政書士の広告が目立つようになり、「黒転白」と謳っているという。「黒(違法)を白(合法)に変える」ということらしい。悪徳ブローカーに取り込まれて違法な手続きを代行しているようで、警視庁が近年、取締りを強化している。
それを報じた某紙のタイトルが「<行政書士>警視庁が監視強化 外国人の不法就労助長」であった。頼まれた申請が虚偽とは知らなかったと否認された場合、必ずしも冒頭の「不法就労助長罪」で立件できるわけではないが、他の容疑で「不法就労を助長」したことを罪に問うているという。
(瀬戸)
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