中国8割の地区で洪水 被災人口1億強、死者不明千人以上 被害拡大中

【大紀元日本7月23日】中国最大の川・長江の流域を中心とする南部で洪水が頻発する中、北部の黄河流域でも大洪水が起こる可能性が伝えられた。更に22日、台風3号「チャンスー」(Chanthu)が南部の広東省に入り、南部の水害は一層深刻化する見込み。

中国新聞社の報道によると、中国では今年に入ってから、10年来で最大の洪水被害に遭遇した。34の行政地区のうち27の行政地区で洪水が発生、25の内陸河の水位が最高記録を更新した。各地で河川の氾濫、土石流、地すべりおよび都市部での冠水が頻発し、広範囲で影響を受けているという。

「国家洪水・干ばつ防止総指揮部」の劉寧秘書長の21日の記者会見によると、20日時点の各地の洪水による被災人口は1.13億人に達し、64.5万棟の家屋が崩壊、7千ヘクタールの農地が水没した。701人が死亡、行方不明者は347人、直接的な経済損失は1422億元(約1.9兆円)に達するという。

また、劉秘書長によると、北部の黄河、海河、松花江、遼河などの河川では長年、大規模な洪水は発生していないが、2010年1-6月は降水量が多く、北部でも大洪水の可能性が高まっているという。

このような状況から、一部では1998年以来の大洪水が再発するのではとの不安の声も聞かれる。

22日時点では、中国一の長江の水位が上昇を続けている。午後、湖北省武漢市では警戒水位まであと17センチメートルに達した。あわせて、台風3号「チャンスー」(Chanthu)が南部の広東省に入り、被害は更に深刻化する見込み。

国営新華社通信は同日、特別社説を発表、「愛国主義の民族精神を出して、党中央の強力なリードの下、一致団結して洪水に対抗するよう」にと呼びかけた。

一方、中国メディアは、1998年の広域の大洪水発生後、長江の支流・九江に建設した洪水対策の堤防に、すでにがけ崩れが発生したと報じた。それにより、工事の質を疑問視する声が多発。

それに対し、「国家洪水・干ばつ防止総指揮部」の束慶鵬・副主任は21日、九江エリアの29項目の建設プロジェクトは工事中に品質問題は発見されなかった、と説明した。

束慶鵬・副主任によると、ここ数日間、長江の九江エリアでは警戒水位を超す状況が長時間続いたことから、一部では堤防の崩れが発生した。しかし、管轄する江西省政府が緊急の補修工事を行い、状況をコントロールできたという。

江西省九江市の洪水対策弁公室の副主任は、関連の報道が外部の誤解を招いたと説明した。劉寧・副部長も、1998年に長江全域で洪水が発生したのとは異なり、今年の降水量は当時より2割少なく、長江の三峡ダムも一定の調節作用を担っているとして、広まる大洪水再発の不安を払拭しようとした。

1998年8月、九江エリアで二つの堤防が決壊、広域で大洪水を引き起こし、多大な損失をもたらした。

重慶市の洪水被害の様子(AFP通信)

重慶市の洪水被害の様子(AFP通信)

重慶市の洪水被害の様子(AFP通信)

重慶市の洪水被害の様子(AFP通信)

(翻訳編集・叶子)

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