【大紀元日本7月20日】ふた月も前からずっと私をとりこにしている木があります。その名は「アポロ」。漢字で書けば「阿勃勒」で、中国語ではこれを「a-bo-le」(ピンイン表記)と読みます。なんとなく「アポロ」に近いので、私の中ではずっといとしいアポロです。日本名は「ナンバンサイカチ」と言い、インドやスリランカあたりが原産で、沖縄でもよく見られるそうです。
この木に気がついたのは、4月半ばです。黒っぽい細長い棒が何本も何本も木にぶら下がっているではありませんか。まるで、木全体に「竹風鈴」が飾られているようでした。下に落ちているその棒を失敬して割ってみると、なんと中にはネバッとした飴状のものに包まれた豆がぎっしり並んでいました。アポロの木はマメ科で、鈴なりのこの棒は一本一本が豆の鞘だったのです。
木全体に豆の鞘がぶらさがっているアポロの木(写真=大江、2009.6.9)
鞘の中には豆がぎっしり詰まっている。(写真=大江、2009.6.9)
5月のいつごろからだったでしょうか、黄色い花をつけ始め、6月中旬から7月初にかけてその花が満開となりました。ブドウの房状の黄色い美しい花が木全体にたわわに実りました。この木が別名「黄金雨」(ゴールデン・シャワー)と呼ばれるのも納得です。黄色といっても艶やかではなく、控えめな清楚な黄色なのがまた魅力的です。
満開時には、ブドウの房のような花で木が覆われる。(写真=大江、2009.6.9)
5枚の花びらが大きく開くと、釣り針状に伸びたおしべとめしべが姿を現す。(写真=大江、2009.7.3)
その花も今はすっかり花びらを落とし、「竹風鈴」を隠してしまうほどに葉っぱが青々と生い茂っています。
もうしばらくすると、花が落ちた茎の辺りから緑色のかわいい豆が姿を現し、それが翌年にはまた褐色の立派な「竹風鈴」になるのでしょう。
私がアポロの木を見つけたのは、台北市にある台湾師範大学のキャンパスで、あちこちにその木が植わっていました。図書館の玄関には、学生から寄せられたアポロの木賛歌の優秀作品が飾られ、大学のグッズ売り場にはアポロを配した記念品がずらりと並んでいましたが、いずれも「黄金雨」の美しさを取り上げたものばかりで、「竹風鈴」を配したグッズもなければ、竹風鈴を詠んだ詩もありませんでした。私にとっては、黒い棒のほうが魅力的なのですが、これでは絵にならないのでしょう。
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