監禁中の高智晟弁護士の妻が記者会見、国際社会の救援求める

【大紀元日本4月10日】中国で監禁中の人権派弁護士・高智晟氏の妻・耿和さんは4月6日、米国ニューヨークで記者会見を開き、中国での軟禁生活、脱出の経緯や同弁護士の現状などを明らかにし、国際社会による救援を呼びかけた。

人権派弁護士・高智晟氏はかつて中国当局に「全国最優秀弁護士10人」に選ばれた。社会的弱い立場にいる人々の無料弁護を引き受け、正義を追求したことで中国全土に名を知られていた。2005年から、中国当局に非合法とされ、弾圧されている法輪功について、3度にわたり最高指導部に公開嘆願書を進呈し、弾圧の違法性と残虐性を訴え、迫害停止を求めた。それに対し中国当局は、同弁護士の法律事務所を強制閉鎖し、恐喝・尾行・逮捕・拷問などを繰り返した。2006年には、「国家政権転覆扇動罪」との罪で、有期懲役3年、執行猶予5年の判決を下された。また、同弁護士は昨年度のノーベル平和賞の有力候補者でもあった。

その妻・耿和さんは記者会見で、「一家は過去3年の間に、絶えず公安当局の監視と嫌がらせに遭った」と話し、以下のように説明した。

自宅では常に24時間交代で警察に監視された。生活はすべて警察の目線が届く範囲におかれた。トイレも風呂のときも例外ではない。就寝時も、警察がそばに座っている、明かりを消すのも禁止された。幼い長男は明るいと眠れなくて泣き止まないが、それでも、警察は譲歩しなかった。

長女には警察が毎日学校まで同行し、頻繁に言葉の暴力を受け続け、昨年9月から学校に行くことも禁止された。少女の精神状態が極限に達し、自殺、自虐を繰り返していた。

「娘に良好な学習環境を与え、深く傷ついた心を癒させるために、友人たちの助けで中国から脱出することを決意した」と耿和さんは語った。

今年1月9日、耿和さんは16歳長女と5歳の長男を連れて、北京から雲南省に向かった。友人の助けで雲南省の国境地帯に到着後、密輸組織の蛇頭に4万元(約5850ドルを支払った。蛇頭に道案内をしてもらいながら、一行はほぽ毎日夜中に山道を歩き続け、7日後の1月16日、タイに到着できた。

タイで身を潜めて約2ヶ月後、米国政府に難民として認定され、3月12日に米国に入国した。

上記の脱出経緯を説明した耿和さんは、「妻として、私は中国に留まっている夫を支えてあげたかったが、ほかの選択肢はなかった。子どもたちのために、国外に脱出するしかなかった」と涙をこらえながら話した。

高弁護士は終始、獄中で受けた拷問の実態を妻に語ろうとしなかったという。「夫が言うには、あなたが知らない分、苦痛も軽減されるから、知らないほうがいい。心にわずかでもいいから美しいものを取っておこう」。

「長期間に拷問を受けた夫の体はボロボロになっていた。獄中で目はタバコの煙に長時間さらされたために、涙が止まらない。30分も読書すると視界がもうろうとしてくる。腰がひどく痛められたため、自力で寝起きができない。胃腸が乱れて満腹感がないため、時には食べたものを吐き出すまで食べ続けてしまう」と耿和さんは明かした。

それでも、後に妻は、夫が2007年11月28日に書いた、獄中で受けた拷問を綴った文章の存在を知ってしまった。

「(あまりにも残酷な内容で)一日数行しか読めなかった。長い時間をかけて、ようやく読み通した」「夫のことをすごく心配している。2月4日に再度逮捕されたのは知っているが、それ以外のことは何もない。情報によれば、再度獄中で拷問を受けている」と耿和さんは語った。

高弁護士が、法輪功弾圧の違法性と残虐性を訴え、最高指導部に弾圧の停止を求め、3通の公開嘆願書を進呈したことについて、耿和さんは、夫が書いた内容はすべて真実で、緻密な調査に基づく内容であると説明、「私は彼の選択を支持、彼の価値観を支持する。私とこどもたちは黙々と彼を支持していく」と話した。

いま、一家は米国の友人の家に身を寄せ、米国政府からは毎月450ドルの生活費が支給されているだけで、それ以外の収入源はない。支援者たちはネットサイトで一家を支援する募金活動と高弁護士の釈放を求める署名活動を呼びかけている。

記者会見に同席した香港立法会の委員、民主党の党首・何俊仁弁護士は、「オバマ大統領は今年中国を訪問する予定。米国だけではない、人権を尊重するすべての国家は、人権対話のプラットフォームを構築すべきだ。そして、中国当局に、1998年に署名した「政治と公民の国際公約」を履行させ、世界人権宣言を尊重させるべきだ。中国の公民も世界の公民であり、高弁護士には自由・尊厳を取り戻させてあげなくてはならない。中国当局は良識と尊厳を追い求める国民に直視する勇気すらない。このように信念を重んじ、良識を堅持し、勇気溢れる人々が中国に存在していることは、国家の良識、人民の正義の一面を表している。我々は最大の努力を費やして高弁護士の救援活動を続けていく。正義は必ず勝利すると確信する」と述べた。

(記者・余暁、翻訳編集・叶子)
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