相手をよく見よ!李長春その人

【大紀元日本3月31日】

現代中国を認識するための前提

古来より中国と密接な関係を持ってきた日本人にとって、現代中国を正確に認識するうえで最も障害となっていることは何か。

一言でいえば、政府の上に「党」が存在する、という中国の実態が、日本人には想像しにくいことであろう。

政府ばかりではない。司法、行政、教育、文化、言論、信仰、報道など、すべての上に、絶対的権力として「党」が存在する。そのような極めて畸形的な国家が、いわゆる「中華人民共和国」なのである。

この前提を、中国共産党が消滅するその日まで、決して忘れてはならない。

3月29日、李長春の来日

その上で大切なことは、「相手をよく見よ」ということに尽きる。

中国政府の代表として要人が来日すると、律儀というか、お人好しの日本側はそれを「賓客」として、下にも置かぬほどもてなす。

しかし、その相手とは何者か。中国人民を代表する正当な政府ではなく、実質的に人民を抑圧し続けてきた「悪党」の一味ではないか。

「悪党」という表現は、筆者の主観によるものではない。

8000万人とも言われる無辜の人々を非正常死させた歴史と、現在も進行している人権迫害が証明するところの客観的事実であり、中共がどれほど隠蔽しても隠せない真実なのである。

その「悪党」の首魁の一人、李長春という人物が、3月29日から来日している。

李長春。

中国共産党の最高意志決定機関である中央政治局常務委員会で、5番目の席次にある。江沢民一派。思想・宣伝を担当。なかでも国内思想統一と、反日宣伝が得意。

ここまで聞いて、この人物が何をしに日本へ来たかを想像できなければ、中国に対する感覚が麻痺していると申さざるを得ない。

中共の「友好」に騙されてはならぬ

言うまでもないが、中共にとって「友好」とは理念ではなく、手段でしかない。

世界中にばらまいたジャイアント・パンダ(しかも法外なレンタル料を取る)も、もちろん手段である。

パンダならまだ可愛げもあろうが、この李長春はあまりに醜悪すぎる。

2005年9月2日から4日まで、北京で開催された抗日戦争研究の「学術」シンポジウムで、李長春は次のような趣旨の長演説をしている。

「中国共産党の抗日戦争における歴史的位置と役割の研究を強化し、全国各民族人民が党の指導の下で中華民族の大復興を実現する自信を一層固めるようにしなければならない」(同年9月4日新華社より抜粋)

内容は知れているので引用する価値もないが、要するに中国共産党は、「学術」の場であるにもかかわらず「話をここへ向けろ」と命令するのだ。

また、全国の各民族を「党」の指導下に置け、という。 

その上、日本にとっても聞き捨てならないのは、中共が抗日の主役であり英雄であるかのような位置づけと、中共あるかぎり永久に続けられる反日プロパガンダの存在である。

因みに、昨年5月12日の四川大地震発生直後、中国国内の主要メディアに向けて「団結と安定を強めるためプラス面の宣伝をしろ」と命じたのも、この李長春である。 

だから中国中央テレビなどは、奇跡の救出劇や軍の献身的な場面を、洪水のように放送し続けた。もはや報道ではなく、「ドラマ制作」に近い。

要するに、いま日本に来ている李長春とは、そんなレベルの輩だ。

日本への「友好」など、微塵もない。

法輪功弾圧の「業績」による成り上がりもの

1944年遼寧省大連の生まれ。65年入党。

遼寧省瀋陽市から始まった李長春の党員としてのキャリアは、それなりに上昇した。

1998年から中国共産党中央政治局委員、および中国共産党広東省委員会書記。

通常ならばこのあたりで終点であったのだが、彼が江沢民一派に属し、江沢民の命令に

よって1999年7月から始まった法輪功弾圧において、広東省で悪魔的な辣腕をふるったことが「業績」となって、李長春を中央第5位の地位にまで押し上げたのである。

2002年11月から、中国共産党第16回中央政治局常務委員(兼中国共産党広東省委員会書記)となり、現在まで続く。

法輪功への迫害は、中国全土において苛烈を極めたが、特に李長春の広東省では凄まじかった。

法輪功学習者を一人捕まえれば3000元出す、という報奨金制度を設けて、何の罪もない善良な人々を片端から不当逮捕し、拷問・虐待によって殺した。

「悪党」のなかで出世することは、手を血で染めることに他ならない。

日本人の真の友は誰か

29日、李長春の来日に対して、「ノー」の声を上げる勇気ある人々が日本にいた。

ただ、残念ながら、それは日本人自身ではなかった。

日本に在住するその人々の多くは中国の出身だが、自分の祖国である中国に今は帰ることができない。帰れば身の危険があるからである。

彼らが学んでいる法輪功(ファールンゴン)という気功は、日本人の筆者から見ても極めて健全なものであり、中共が喧伝するような「邪教」では断じてない。

では、なぜ中共は法輪功を恐れ、命を奪うまで迫害するのか。

答えは単純である。中共自身が「邪教」だからだ。

李長春が来日した29日の夜。東京・六本木の中国大使館前で、通常もおこなっている静かなアピールをしようとした法輪功学習者たちを、日本の警察が排除したと聞いた。

筆者はその場にいなかったので想像するのみだが、警察にすれば公務を執行したつもりなのであろう。あるいは双方とも、やや興奮した場面があったかも知れない。

ただ、そこにいた法輪功学習者たちの真摯な心は、大いに傷つけられた。

日本の警察までもが「悪党」に味方し、「邪教の徒」を警護するのか、と。

「李長春のような悪人を日本に入れることは、日本の皆さんのためにもならないのです」

これほど日本人を気遣ってくれる彼らに対して、筆者は深く感謝するとともに、自らを恥ずかしく思う。彼ら正しく理解し、ともに声を上げ行動する、心ある日本人はいないのかと叫びたくなる。

法輪功を受容するかしないかは、個人の自由であろう。

しかし、ほとんど毎日、中国大使館前に立って静かな抗議をする法輪功の人々の心を、私たち日本人はどれほど理解しているだろうか。

誤解しないでほしい。彼ら、彼女らは、1円の報酬も、交通費も受け取っていないのだ。

ただ、人を救いたいという一念で、寒風のなか酷暑のなかに立ち続け、たどたどしい日本語で、1枚のチラシを手渡すのである。

私たち日本人が、真の友とするべきは誰か、相手をよく見よ。

中共か。

あなたに1枚のチラシを手渡した、その人か。

(以 上)
関連記事
12月20日、米国務省の外交団がシリアに到着した。バッシャール・アサド政権崩壊後、ワシントン高官がダマスカスを公式訪問するのは初めてとなる。
10年前、中共は「中国製造2025」計画を掲げハイテク製造業強国を目指した。しかし現在、中共は知的財産権侵害や不公正競争の指摘を受けている。EVや高速鉄道で進展も、核心的な技術は不十分だ。
英国のフィリップソン教育相は、中国による高等教育機関への影響について警戒を呼びかけている。庶民院での議論では、中国が公的機関や企業、大学にまで浸透している実態が指摘された。
12月16日、英豪閣僚級会議がロンドンで開催され、中共のスパイ浸透対策が主要議題となった。英国外相は中共スパイの楊騰波の入国拒否を支持し、豪州外相は複雑な国際情勢を指摘。英国の外国影響力登録制度の施行は延期され、中共の指定級が注目されている。
インド政府は、中国からの安価な鉄鋼輸入を抑えるため、最大25%の関税(セーフガード)の導入を検討している。この […]