何清漣氏:中国の誤った経済政策、「富国強兵」

【大紀元日本12月10日】中国の改革開放は経済を中心にしたもので、これまでの30年間の経済はある一定の成績の下で発展したが、同時に環境や社会等に深刻な問題も多くもたらした。

米在住中国経済学者・何清漣氏は90年代に出版した「現代化の落とし穴(海外版の書名:中国の落とし穴)」の著書で、中国当局が行った改革によって発生した問題を指摘したことで中国共産党(中共)を怒らせた。しかし、何氏は今でも自分の見解を変えず、中国の「富国強兵(国を豊かにし、軍隊を強大にする)の改革政策は誤った政策だと主張している。

中国30年間の改革勝敗について、何氏はまず1989年を境に分かれた2つの改革に触れた。

何氏は、「改革について、1989年を境にしていることが一般的で、それより以前は理想主義的改革だと見なされている。当時、政府の公共政策はまだ民衆の利益を考慮していたことと、少なくとも一部の改革は90年代のように高官や勢力のある人たち一辺倒丸出しにしていなかったと言えるだろう。当時の特権集団は権力を利用して国有資源および民間財力を略奪する状況も90年代のように深刻ではなかった。1989年「六四天安門事件」の時は、「反官倒(役人の不正な商取引を反対)」のスローガンを掲げていた。当時の「反官倒」は、二重価格を利用して希少価値の物資を転売し、差額利益を取っていた」と説明した。

何さんは、すべての経済改革で、「陣地攻撃戦」は90年代に集中したとし、特に1992年、_deng_小平は平南巡回後がそうであり、自分の著書「現代化の落とし穴」の中でも主に90年代の改革を指していると示した。

何氏は、90年代は企業改革の中では主に株式制の実施が行われ、深圳・上海の2か所に同時に株式市場を設立したと強調した。

一方、過去30年間の改革をまとめてみると、いわゆる農家生産請負制を実行してから、その後の改革は各種の方式で国営企業を取り巻いて行っていた。

これに対して、何氏は、「農村で家庭請負制を実行してから、中央政府は農村社会の建て直しおよび農業経済で現れた問題に対して基本的に触れていなかった。1983年に改革が農村から都市へ方向転換してから国営企業を取り巻いて改革を行った。最初は小範囲での改革で、例えば、奨学金の設立、工場長の請け負い制度の制定だったが、90年代に入ると、「抓大放小(基幹産業は国家が所有、中小企業は民営化)」、破産・合併、最終的に当時の朱鎔基首相が取り入れた一連の措置まであった。但し、80年代に趙紫陽が政府・企業両立の提案について、朱鎔基は提起しなかった。朱鎔基は「現代企業制度」を行い、2~3年で結果も生まないままに終わってしまった」と説明した。

しかし、「抓大放小」政策は中央政府で一部の資源型巨大企業を育成した。何氏は、現在中国の「納税五百強」にランキングされているトップ数十社の企業は、基本的に朱鎔基時代に「優化組合(一定の措置を取って、優れたものにした企業)」で、各種措置を施し保護し残されたものだと指摘した。これらの企業は中国税収入の約半分の数字を納めているとし、朱鎔基が中共当局に残した貴重な経済遺産と言えると示した。

一方、残された経済遺産が肯定的なものであれば、その反面である医療・社会保障方面の問題は改革政策が残したマイナスな結果であろう。

これに対して、何氏は「当時朱鎔基の改革での「甩包袱(荷物を投げ捨て)」に触れなければならない。当時の「甩包袱」とは主に医療である。農村の協力医療は1984年以降、公社制度の崩壊と共に消えた。都市は医療改革が始まり、徐々に個人が費用を負担することになった。最近数年間、政府側からの援助はわずか17%しかなくて、個人負担は60%を超えている。また、一部を社会が負担するが、これはほかの発展中の国家、特に民主化の発展中の国家政府が60%を負担する状況に比べて、非常に異なっている」と分析した。

何氏は再び、中国がこれまでに行ってきた改革路線は誤っていると指摘し、これは「富国強兵」の路線で、中国の財政能力はGDPの増長より遥かに高いレベルにあるのに対して、国民の収入増幅は政府財政収入の増加より低いことを強調した。

*中国改革の功罪

何氏はまた、朱鎔基は任期内で「税分納制」をも行い、財力権力を全部中央へ移した。地方政府は一部重要でない税金、例えば、農業税屠殺税遺産税などを含み、増値税、株式印紙税は中央および地方に上納する。しかし、たばこ税、関税は中央へ上納すると説明した。

そうすると、中央は「財権大事権小」になってしまう。大部分の財源をコントロールしているが、教育、医療等公共福利および多くの基礎施設建設を地方へ投げ出した。結局地方政府はこれらの社会支出を縮小し、最終的に中国を党の政治行政機関および少数独占企業のほかすべての民衆には福利は行き渡らなかったと示した。

何氏は、中央の考えは知ることはできないが、操作上からみた場合に、この政策を行い続けると、地方税源が不足に陥り、最終的に目先の利益ばかり考えて将来を考えない行動を取ってしまうと指摘した。しかし、これも中央がしたことだと語った。

過去において、農業税の徴収で農民たちが自殺の道を歩んだ数が多かった。1998年以降、人口の65%を占める農民はGDPの18%しか貢献できなかった。これ以上に絞っても出てこないからだ。それ故、農村は農民の土地を狙うようになり、強制的に立ち退きさせることが起きた。

何氏は、国際社会がよくする質問で、「何故中国経済が著しく成長しているにもかかわらず、民衆からの反抗が非常に多いのか」に対して、中国経済成長のモデルおよび社会公共政策の特徴が中国社会矛盾の形を決定したと指摘した。近年の統計によると、いわゆる「集団抗議事件」は2003年の年間5万件から、2005年の8万件まで増えた。その後、この数字は公布されることはなくなった。情報筋によると、現在では年間約10万件が発生しているという。

一方、中国当局が救済方法を取っていることに対して、何氏は、当局が行った救済は実際に何年も遅れているし、少しの修正補給は問題を根治することはできないとし、もっとも重要なのは、中国がこれまでに行ってきた改革路線は誤っていることだと指摘した。何氏は、中国の財政能力はGDPの増長より遥かに高いレベルにあるのに対して、国民の収入増幅は政府財政収入の増加より低い現状の中で、政府は財政収入の65%で「国の財政で飯を食う」全国7500万人を養っていると指摘し、中国当局は今のやり方を暫く変えないと示した。

(翻訳編集・余靜)
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