【大紀元日本1月13日】下級生が上級生に「先輩!コンビニ寄って帰りませんか?」は、日本語としてまったく問題ありませんが、上級生が下級生に「後輩!コンビニ寄って帰ろうか?」は、何とも不自然です。
他にも、「先生!これどういう意味ですか?」に対して、「生徒!この単語の意味は何ですか?」は不自然ですし、「師匠!お昼になさいますか?」に対して、「おい、弟子!お茶を持ってきてくれ」も然りです。
「先輩」⇔「後輩」、「先生」⇔「生徒」、「師匠」⇔「弟子」はいずれも、「目上の者」⇔「目下の者」という関係になっており、どうも、「目上の者」を指す語は呼びかけに使われることがありますが、「目下の者」を指す語は呼びかけ語としては不自然だと言えそうです。
社長(目上の者)から部長/課長(目下の者)に対して、「部長!/課長!」などと呼びかけるのは、許容度がかなり高くなりますが、これは、「部長!/課長!」が平社員にとっては目上の者に対する呼びかけ語であり、社長も平社員の立場に立ってそう呼びかけたということだと考えられます。おばあさんが孫の前で自分の娘に、「お母さん、○○ちゃんが寒そうよ」と言うのに似ています。
目下の者を指す語が呼びかけ語に使われないというのは、親族名称にも見られます。そもそも、「父/姉/息子/妹」といった親族関係を表す語は、「父!」「妹!」のように呼びかけ語としては使えませんが、目上の者を指す場合は、「お父さん!」「お姉さん!」といった形にすれば問題ありません。ところが、目下の者を指す「息子」や「妹」といった語は、そもそも「お父さん!」とか「お姉さん!」に対応する語を持っていません。つまり、これらの概念を表す語は、呼びかけには使われないということです。
「♪妹よ!ふすま一枚へだてて今~♪」という歌がありますが、面と向かって妹に「妹よ!」と呼びかけるのはやはり一般的ではないでしょう。
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