【ことばの豆知識】湯たんぽと竹夫人
【大紀元日本12月26日】近年、湯たんぽが見直されているそうです。灯油の高騰や環境への配慮がその理由のようですが、かつてのブリキや陶器のもののほか、手ごろな値段のプラスチック製のものも店頭に並んでいますし、形もずいぶんおしゃれなものがあります。
ところで、「湯たんぽ」の「たんぽ」とは、どういう意味でしょうか?
清朝の乾隆皇帝が南方へ視察に行った際、あるお寺の住職には妻がいるという噂を聞き及びました。そこで、その住職に尋ねたところ、住職は、「確かに。二人おります。夏は“竹夫人”を抱き、冬は“湯婆子”を懐に抱いております」と答え、乾隆皇帝は大笑いしたそうです。(“婆子”は婦人に対するぞんざいな呼称)
“竹夫人”とは、竹で編んだ筒状の籠で、細長い抱き枕のようなもの。中が空洞になっていて風通しがいい上、竹の皮のひんやりとした触感もあって、暑い夏には重宝したようです。日本でも使われており、俳句の季語にもなっています。
一方、“湯婆子”は、銅や陶器でできた少しひしゃげた丸い容器で、中にお湯を入れて暖を取ります。住職のように懐に抱くこともあったのでしょうが、多くは布団の中で足を暖めるのに使われました。つまり、形こそ多少違え、正に日本の湯たんぽです。
この“湯婆子”は中国語で“tangpozi、タンポーズ”と読まれます。なんか「たんぽ」に似ていませんか?そうです。「たんぽ」とは中国語の“湯婆(子)”のことで、つまり「湯たんぽ」=「湯湯婆」なのです。「湯」がダブっているのは、「顔を真っ赤に赤面した」と同じようなもので、ご愛嬌。
ところで、“竹夫人”が“竹婆子”でなく、“湯婆子”が“湯夫人”でないのはどうしてでしょうか?一方が抱き枕代わりに使うので、敬意を表して“夫人”と呼ぶのに対して、もう一方は足を暖めるのに使うので、ぞんざいに“婆子”と呼んだのかもしれませんね?