【大紀元日本7月7日】平家物語冒頭の有名な一節・・・「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」があります。
祇園精舎の鐘は、一体どんな音が響くように鋳造されたのでしょうか?吉田兼好がそれに答えるように、徒然草で述べています。「凡そ鐘の声は黄鐘(おうしき)調なるべし、これ無常の調子、祇園精舎の無常院の声なり」
日本の雅楽には、四季の季節に配当された音階の調べがあります。それぞれの季節感を表わす調べがあるのです。黄鐘調は夏の調べに配当され、西洋音階のイ短調に当たっています。黄鐘調の色は黄色ですが、夏の太陽が燃え盛る火の色=朱色に近い黄色です。鐘は万水の音の水源を湛える盃であり、その調べは「銚子に澄みたる酒の入りたるを見るが如く、心喜ばしき風情ある水音」を現し、夏の夜空の帳を掃って牽牛・織姫の逢瀬を祝福します。
七夕の夕間暮れに心の臓から鳴り響いてくる梵鐘は、天の川のせせらぎの音であり、天の渡しで夕涼みする、私たちの地上の願いの声でもあるのです。朱夏の火と天の川の水の一滴が、七夕の夕日の中で溶け合う無上の一刻を、どうぞ今宵はお楽しみ下さい。
(イザヤ・パンダさん)
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