中国雲南省:「高原の真珠」滇池でも、藍藻が大量発生
【大紀元日本6月27日】中国南部の太湖と巣湖で藍藻が大量発生したのに続き、西南部の雲南省滇池(ディエン・チー)でも発生が確認された。専門家は、藍藻の処理は長期的かつ困難であると指摘し、中国当局は環境保護への取組みを効率化すべきであると提言した。
米国VOAの報道によると、雲南省の滇池で藍藻が大量に繁殖している。岸辺のあたり一面の水面が緑色のペンキのようになり、強い異臭を発している。同湖の管理局は6月25日メディアに対し、藍藻の大量発生を認めた。
1990年代中期から、毎年の夏滇池で藍藻が大量繁殖してきたという。同管理局によると、5月から、高温多湿な天候により、湖の栄養分が一層豊富に、藍藻の大量繁殖を誘致した。それに加え、今年の降雨量が比較的多いため、藍藻の発生は例年よりさらに深刻だという。同じ県内の昆明市の生活用水はすでに滇池に頼らないため、藍藻の大量発生は住民の飲用水を影響しないとしている。
滇池はかつて「高原の真珠」の美称を冠していた。1960年代、湖底が見えるほど非常に清らかで、各種の水中生物と魚類が生息していた。人口の増加と工業の発展に伴い、滇池は工業廃水と生活汚水の排出池となり、汚染が益々深刻になった。1990年代中期から、藍藻が毎年大量繁殖し、魚類の大量死亡が発生。藍藻が死んだ後、強い異臭を放ち、水面に油が浮いている。雲南省環境保護局のホームページ資料によると、藍藻の発生は1999年、20平方キロメートル範囲内で、厚さ数十センチに達した。そのため、昆明市第3水処理工場が操業停止に追い込まれた。
中国科学院は2000年に130人の専門チームを設立、滇池の藍藻退治に取り組み始めた。2004年8月にまとめられた報告書によると、この専門チームが4年間の時間を費やし、滇池での藍藻発生の抑制に突破的な効果を挙げたと説明した。しかし、今年の春先から太湖と巣湖に続き、滇池での大量発生が再度確認された。
米国VOAは、米国ハーバード大学の生物学研究助手マクナマラ氏の見解を引用し、「ここ数十年間、世界各地で藍藻の大量繁殖が頻繁に確認されている。気候の変化と関連しているが、最も重要な原因は、水資源が人類に汚染されたためである。多くの国は湖に流される汚染物の量を減らすために、汚水処理システムを建設、藍藻の繁殖に必要な栄養分を遮断させようとしている…化学肥料と土壌の汚染や、生活汚水による汚染も重要な要因。湖の栄養分を削減するのは、技術的に難しく、長い道のりとなる」と報じた。
マクナマラ氏は、「多くの湖の地理条件は、本来栄養物質の進入を阻止できるはずだが、人類の活動により破壊され、藍藻の異常繁殖をもたらした。滇池の周辺で畑が大量に開発されたことも典型的な事例である」と分析した。
雲南省環境保護局が2000年にホームページで公表した報告書は、「昆明市には、4つの汚水処理工場があり、全市の半分以上の汚水を処理できるはずだが、汚水を収集する関連のシステムが無い上、工場の管理もずさんであるため、現状では大半の汚水処理施設は本来の機能を果たしていない」と記していた。
また、米国在住の社会学者・劉暁竹氏は、「中国当局の環境問題への関心度と環境保護機構の機能を非常に憂慮すべきである」とし、「体制内の汚職が横行しているため、環境保護機構も例外にはならない。事実上、環境保護に使われる資金が不正流用された報道はよく目にする」と指摘した。