【中国のことわざ】立錐之地

【大紀元日本2月2日】【立錐之地 Lì zhuī zhī dì】立錐(りっすい)の地(ち)。錐(きり)しか立てられないほどの極めて狭い土地。わずかばかりの開いた土地。転じて、生活に苦しいこと。

項羽軍が栄陽を取り囲んだとき、范増の策略を受け入れ、鐘離昧に精鋭軍を率いて漢軍の補給路を断たせ、その結果として打ち負かして勝利を収めたことを聞いた劉邦は、ひどくやきもきした。このときちょうど麗食其が劉邦に謁見を求め、「今、秦は道徳を失い、義理を捨てた。諸侯社会を征服して六国を滅ぼした後、「錐を立てられるほどのわずかな土地もなくさせてしまった…」と言い、さらに「項羽と直接戦わないで、栄陽を守りながら、使者を派遣して六国の後代を王にすべきである。なぜなら秦が六国を滅ぼした後、六国の後代もみんな免職され、生活に困っている。もし後代を王に封ずることができるなら、後代たちも漢に忠誠を誓い、恩に感じ徳をたたえるだろう」と策略を提案した。劉邦は賛成し、それを実行するために麗食其を派遣することにした。しかし麗食其が出発しようとしたとき、張良が急いで駆けつけ、その策略に断固反対した。劉邦はもとの主張を撤回し、六国の金印を焼いてしまった。

現在の中国において、雇用問題は長期にわたる複雑な問題となっている。特に、農村からの安価な出稼ぎ労働者は苦しい生活を送っており、その安全と権利が十分に保証されていない。例えば、一日12時間前後の長時間労働、健康に有害な職場環境、労働者の自由の束縛など安全と権利の侵害が行われている。労働者の安全と権利に関する法律や行政機構はようやく整備されたが、法律の具体的施行を担う地方政府は地元の都市戸籍者を優先する傾向にある。労働力が大量に移動する時代であるにもかかわらず、地方政府がそうしたスタンスを変えないため、出稼ぎ労働者の安全と権利が脅かされる状況が生じている。労働者の権利保護を農村からの出稼ぎ労働者にも広げていくことで労働条件の全般的改善を図っていかなければならない。雇用問題を適切に解決するには、経済政策から社会保障までの多方面の努力が必要である。

出典: 西漢・司馬遷《史記・留侯世家》

(編集・縁修)