圧政の道具と化した中国の司法制度
【大紀元日本8月23日】中国において21年の実務経験を持つ郭国汀弁護士は、大紀元記者のインタビューに答え、中国司法の状況を語った。2003年から人権関連の訴訟などを代理している郭弁護士は、専制的な中国共産党政権下、中国の司法には重大な不公正が存在し、それは政治犯、法輪功関連及びその他「敏感」な訴訟などの審理に広く及んでいると指摘。「裁判所は、中国共産党の違法行為の共犯者、道具に堕しており、正常な社会の裁判所が本来具備すべき裁判の機能を持っていない」と評している。
郭弁護士は、これまで家屋の強制立ち退き、民主活動家の逮捕、法輪功学習者の逮捕拘留などを含む数十件の訴訟を手がけ、それぞれのケースで、詳細に調査を重ね、入手した証拠に従い被告人の無罪を主張してきた。
今年4月30日、山西省のフリ記者・師濤氏は、湖南省長沙市の中級法院で「国家機密漏洩罪」を理由として、10年の収監を言い渡された。第1審で弁護を担当した郭弁護士は、正当な理由なく弁護士資格停止処分を受けたため、控訴審では、莫少平弁護士が弁護に当たった。ところが、控訴裁判所は被告人尋問を行わず、弁護人の意見も聴取せず、また、弁護人に対し何ら通知することもなく原判決を維持する判決を下した。控訴裁判所のこうした行為は、中国の法律上重大な違法となる。
「真、善、忍」の信仰の放棄を拒否したことを理由として、7年の収監刑を言い渡された法輪功学習者・陳光輝氏は、2004年8月、収監されている蘇州刑務所内において、頭蓋骨に重大な損傷を負い意識不明となった。郭弁護士は、高度な治療を必要とする本件において、陳光輝氏の刑務所施設外治療を申請した。しかし、植物状態が6ヶ月以上経過した今年1月、管轄の江蘇省司法機関は尚もこれを許可していない。
また、2003年6月、上海交通大学出身の瞿延來氏が、法輪功を学んだことを理由として5年の収監を言い渡されたケースでは、接見交通権に対する重大な侵害があった。中国の法律上、身柄拘束を受けている被疑者は、48時間以内に弁護人と接見することが認められている。しかしながら、本件では4度の接見申請はすべて拒絶され、郭弁護士は、90日経過後も陳光輝氏と接見することはできなかった。郭弁護士は、法輪功を学習する行為が有罪かとうかを問わず、法輪功学習者は一市民として、最低限の平等な取り扱いを受ける権利を有し、こうしたいわれのない苦難を被るべきではないとし、こうした共産党政府の違法行為を批判した。
これに対する中国政府の対応は、郭弁護士を「中国弁護士の社会におけるイメージを毀損し、悪辣な国際的影響を増幅している」と非難し、郭弁護士の弁護士資格証の没収、また業務用コンピューターの押収、さらに業務停止1年の処分を下した。加えて、上海公安は「社会秩序擾乱罪」を理由として、郭弁護士の身柄を拘束した。郭弁護士によれば、中国における人権関連ケースの相手方当事者は、犯罪組織化した政府であり、一弁護士の名誉を致命的に傷つけ、またはその経済基盤を奪うことは容易なことである。したがって、そのリスクは通常の一般商務、その他一般の民事・刑事のケースとは比べものにならないほど大きく、中国における人権関連訴訟等の代理は、専門知識に加えなにより知恵と勇気並びに社会の正義、公正、自由民主のために働く献身的精神を必要とする。
郭弁護士は、最後に「21年の実務経験で学んだことは、中国の現行政治体制の下では、司法の公正はあり得ない」と強調した。