2024年3月8日、全国人民代表大会(全人代)の第2回全体会議に出席するため、北京の人民大会堂に到着した中国軍の代表団。全人代は、中国共産党の決定を追認する立法機関とされる(Kevin Frayer/Getty Images)

【中国観察】習近平の軍掌握に疑問の声 五中全会前の粛清と権力闘争

中国共産党の理論誌『求是』がこのほど、習近平党首の年初の演説を掲載した。習近平は反腐敗闘争を一瞬たりとも緩めない姿勢を強調し、表向き忠誠を装いながら寝返りを狙う「二面性のある人物」を激しく非難した。

識者は、この時期の掲載は五中全会(第20期中央委員会第5回全体会議)をにらんだ動きだと分析する。党内の権力闘争は激化し、軍のナンバー2だった張又俠と参謀長だった劉振立の摘発の余波も続く。習近平が軍を掌握できているのか疑問視する声もある。

掲載しているのは、習近平が1月12日の第20期中央規律検査委員会第5回全体会議で行った演説である。習近平は、十数年にわたる反腐敗運動を経ても腐敗は依然多発しているとし、腐敗は「最大のリスク、最大の脅威、最大の課題」で、反腐敗闘争は「一瞬たりとも止めてはならず、半歩たりとも後退してはならない」と強調した。「病んだ木」は必要に応じて引き抜き、切り倒すべきだとも述べた。

▶ 続きを読む
関連記事
張又俠が習近平に権力移譲を迫る計画を認めたとの内部情報が浮上。党内元老の支持や軍内対立、粛清の連鎖が背景にあり、第21回党大会を前に権力構図は依然として不透明だ
中国の一部SNSアカウントが中共幹部の失脚を事前に示唆している問題で、官製メディアが体制内の「内通者」による情報漏えいを報道した。学者は金銭目的だけでなく、党大会前の権力闘争や派閥間の情報戦が背景にある可能性を指摘
中国共産党は7月13日、政法・エネルギーなど複数分野の幹部8人を同日に調査。党大会を前にした人事と統制強化の一環との見方が広がり、取り締まりの連鎖や忠誠重視の傾向も指摘されている
中共元国防相だった李尚福と魏鳳和が、4月7日、死刑判決を受けた。中国問題研究者の袁紅冰氏は、台湾海峡有事をめぐる見解の違いや、習氏への忠誠を疑われたことが処分の一因だとの見方を示している