過度な思考は脾を傷つけます。脾は消化することと考えることの両方を司る機能システムです。
考えすぎると病気になる――「脾」の養生方法
元の時代(14世紀ごろ)、名医・朱震亨(1282〜1358年)が、ある難しい症例に頭を悩ませていました。6か月間も寝たきりの若い女性がすっかり食欲を失い、どの医師にも治すことができなかったのです。丁寧に脈を診た朱震亨は、その原因を突き止めました。恋煩いでした。彼女の婚約者は5年間も音信不通で、その間ずっと彼のことを想い続けていたのです。
医学の知識と、鋭い心理洞察の両方を併せ持つ朱震亨は、型破りな策を思いつきます。少女の父親に、「この病は、怒りによる衝撃で治す必要があります」と告げると、堂々と部屋に入り、少女を厳しく叱りつけたのです。「未婚の身で男を想い焦がれているとは何事だ!」その言葉に傷ついた少女は、堰を切ったように泣き出し、溜め込んでいた感情を一気に吐き出しました。すると驚いたことに、感情の嵐が過ぎ去った直後、彼女の食欲が戻ってきました。お腹が空いたのです。
この逸話は、中国伝統医学の著名な文献『医案』に記録されています。
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