2月25日、アラブ首長国連邦北部のホルムズ海峡に位置する都市フジャイラの沖合に停泊する貨物船とタンカー(Giuseppe CACACE / AFP via Getty Images) 

ホルムズ海峡で電子妨害 1100隻以上に影響 船舶クラスターも

世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡で、最近深刻な電波妨害が発生している。本来は多くの船舶が行き交う海域だが、衛星追跡画面では航行データが乱れ、千隻以上の奇妙な「幽霊船」が表示される異常な状況となっている。一方、3月10日には世界の原油価格が急落した。トランプ大統領の発言により、中東情勢の長期化への懸念が和らいだことが背景とみられる。

ブルームバーグによると、最新の追跡データでは、ホルムズ海峡付近で少なくとも12の船舶クラスターが確認された。中には200隻超が含まれるものもあるという。

これらのクラスターは追跡画面上で奇妙な形を描いている。アブダビ内陸部では「円形」の配置が見られ、ルワイス沖では「逆Z字型」の隊列が表示されるなど、通常では考えにくい配置となっている。

さらに不可解なのは、船舶の航行速度にも異常が見られる点だ。例えばタンカー「アスプルダ号」は3月9日、追跡信号上で航速102.2ノット(時速約190キロ)と表示された。しかし、この種のタンカーの通常の最高速度は約16ノット(時速約30キロ)にすぎない。

海事情報会社ウィンドワードによると、電波妨害は衝突初期から発生しており、これまでにペルシャ湾で1100隻以上の船舶に影響が及んでいる。

専門家は、こうした異常は電波妨害による可能性が高いと指摘する。地政学的緊張が高まり、軍が電子戦を展開する状況でしばしば発生する現象で、航法システムが妨害されると、追跡プラットフォーム上で船舶の位置や速度に不合理なデータが表示されることがあるという。

中東の衝突が激化する中、海運業界ではこの海域のリスクに対する懸念が強まっている。最近では複数の船舶がミサイルなどの攻撃を受け、保険料も急騰している。大手保険会社の中には、同海域を航行する船舶の保険引き受けを拒否する動きも出ている。

航行の安全を確保するため、米政府は船舶への保険提供や海軍による護衛を検討しており、船舶の航行再開を促す考えだ。トランプ大統領も3月9日、アメリカとイランの戦争は終結に近づいていると述べ、アメリカがホルムズ海峡の「管理」を検討していると明らかにした。

これに対し、イラン革命防衛隊は強硬な姿勢を示し、アメリカとイスラエルの攻撃が続けば、中東から「1リットルたりとも石油を輸出させない」と警告した。

これを受け、トランプ氏はイランが石油輸出を阻止すれば、アメリカはさらに強力な攻撃を行うと警告した。

また複数の関係者によると、トランプ政権はロシア産原油への制裁緩和や、緊急石油備蓄の放出も検討しており、原油価格の急騰を抑える狙いがある。

3月10日には、主要な原油先物が一時最大11%下落した。前日は3年ぶりの高値を付けていた。米東部時間3月10日午後0時30分時点で、ブレント原油先物は10.30%下落し1バレル88.77ドル、米WTI原油先物は10.09%下落し1バレル85.21ドルとなった。

同日、トランプ氏はFOXニュースのインタビューで、イランと対話する可能性にも言及した。一方、ヘグセス米戦争長官は、対イラン軍事行動において同日が「これまでで最も激しい攻撃の日になる」と述べた。

ただし、JPモルガンは、ホルムズ海峡の安全な航行が確保されなければ、政策措置による原油価格への影響は限定的になる可能性があると指摘した。今後2週間で、世界の供給が日量最大1200万バレル減少する恐れがあるとしている。

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