(Shutterstock)

秋分の節気に学ぶ ― 天地の気と五行の変化に合わせた養生の知恵

秋分になると、昼と夜の長さが同じになり、陰と陽のバランスも整います。一見すると春分と同じように見えますが、大きな違いがあります。春分を過ぎると陽の気が強まり、だんだんと暑くなっていきますが、秋分を過ぎると逆に陰の気が増え、夜が長くなり、気温もぐっと下がっていきます。

人の体にとって秋分は、ただ涼しくなるだけの節目ではありません。天地の五行のエネルギーが切り替わり、組み替わる時期でもあります。人の体も五行でできた小さな宇宙とされており、天地の気の流れとつながっています。そのため天地の五行の変化を知れば、体の臓器にどんな影響があるかが分かり、体の気の流れを整えて病気を防ぐことができるのです。

 

今年の秋分から、中医学の『内経』にある「五運六気」理論でいう「五之気」という段階に入ります。これは1年を6つに分けたうちの第5段階で、秋分(9月23日)から立冬の前日(11月21日)までの2か月間にあたります。1年は大寒から始まり、2か月ごとに一区切り、計6つの段階に分けられ、それぞれ五行のエネルギーが交代で主導していきます。

▶ 続きを読む
関連記事
腎を補う前に――まず胃腸を整える 冬は「水の季節」とされ、体の中では「腎」に関係が深い時期です。ですから冬にな […]
立冬は肺が弱まり腎が冷えやすい季節。今年は金気が不足し肺の働きが乱れやすいため、五臓の調和が重要です。白菜や豚肉を使った温かい料理で脾と腎を温め、気血の巡りを整えましょう。
秋冬は湿気と乾燥が重なり、脾胃と肺が弱りやすく便秘が増える季節。セロリは気の巡りを促し、エリンギは腸を潤し、牛肉は胃腸を温める食材。三つを組み合わせることで、気血が整い、自然な排便リズムが戻ります。
シソは胃腸を整え、体を温め、風邪や寒さから身を守る力を高めます。特に朝に食べると、体の陽気が自然に立ち上がり、秋冬の風邪予防に効果的。朝食に取り入れたい伝統の養生法です。
中医学の養生は、体を自然界のように調和させる「気候調整」の学問。五行の働きが乱れると病が生じ、整えば健康が戻る。季節と連動した「人体の気候」を理解することで、日々の食と生活に新たな視点が生まれます。