私は、手の強さと健康寿命との関係について長年研究してきましたが、それは非常に興味深い発見の連続でした。
近年では、握力を血圧、体温、脈拍、呼吸数と並ぶ「生体徴候(バイタルサイン)」として捉える新しい研究分野も登場しています。研究の進展に魅了されつつも、私は握力が強いこと自体が持つ価値をよく理解しています。しっかりとした手の力は、物を安全に握り、瓶の蓋を簡単に開け、さまざまな作業を高い制御力と持久力でこなすために役立ちます。
強い握力を得るための6つの手のエクササイズ
以下の6つのエクササイズは、手をしっかり鍛え、さまざまな物を握る力を高めるのに効果的です。
これらの運動は私の患者にも非常に効果がありましたが、ご自身に適しているかどうかは、事前に医療専門家に相談されることをおすすめします。
1. タオル絞り
意外かもしれませんが、普通のバスタオルが日常生活の機能改善に非常に有効なのです。このシンプルな運動がその一例です。
必要なもの:普通のハンドタオルやバスタオルで十分です。もし手元にあれば、「フレキシブルレジスタンスバー(ねじり用の太いゴム製バー)」を使うのもおすすめです。
ステップ1:タオルを縦に半分に折ります。よりしっかりねじれるよう、タオルはできるだけ事前にねじっておきましょう。
ステップ2:たるみがない状態にしてから、両手でしっかり握り、2秒間全力でねじり、力を抜きます。このとき、一方の手は手首を屈曲(手のひらを内側に曲げる)、もう一方は伸展(外側に曲げる)するように動かします。これで1回です。
ステップ3:セットごとにタオルのねじる方向を反転させ、両手が交互に屈曲と伸展を行うようにします。1回15回を1セットとし、4セットを目指しましょう。
ポイント:タオルはしっかりと張りを保ち、ねじる動作はゆっくり行います。手首の可動範囲が尽きる前に、しっかりと力を使い切るようにしましょう。
このエクササイズ、ここが好き:タオル絞りは、昔ながらの握る力=「ねじる力」を鍛えるのに最適です。このエクササイズを続ければ、瓶の蓋も恐れをなすことでしょう。

2. フィンガーカール
親指は手の機能にとって非常に重要ですが、握力の強さは主にその他の4本の指から生まれます。フィンガーカールは、それらの指が協調して働き、より強い握力を築くのに役立つエクササイズです。
この運動にはケトルベルの使用が特に適しています。
練習のコツ:このエクササイズに慣れるまではウェイトを落としやすいため、下に枕などを敷いて安全を確保するのがおすすめです。
ステップ1:まっすぐ立ち、腕を体の横に下げます。右手でケトルベルを指だけでフック状に持ち、親指はまっすぐにして手のひらの横に添えます。
ステップ2:指を伸ばし、ウェイトを指先に近い関節まで滑らせて下げます。このとき、ウェイトを落とさずに、できるだけ指をまっすぐにします。
ステップ3:指をできるだけ巻き上げ、ゆっくりと下ろします。動きはコントロールしながら慎重に行いましょう。ウェイトを下げて再び持ち上げるのが1回分です。左右それぞれで3セット、各15回を目安に行います。片手ずつ交互に行っても、片側をまとめて行っても構いません。
このエクササイズ、ここが好き:この運動は指の筋力を高め、親指に頼らずに機能する力を養うことができます。

3. シリンダーキャリー
手には、前腕ではなく手の中に存在する20の内在筋があります。このエクササイズは、これらの筋肉を効果的に鍛えるのに役立ちます。
ステップ1:まっすぐ立ち、腕を自然に下ろします。缶や逆さにした満タンのペットボトルの上部を、指を伸ばした状態で指先だけを使って持ちます。握力が強くなるにつれて、標準サイズを超えたより重い容器に挑戦することも可能です。
ステップ2:その状態で1分間歩き、その後、反対の手でも同じエクササイズを行います。両手で同時に持っても構いません。
ステップ3:片手につき1分間のキャリーを3回行うことを目標にしましょう。
修正方法:指をまっすぐに保つのが難しい場合は、指を軽く曲げても構いません。その「収縮した握り」もまた、新たなトレーニング刺激となります。
このエクササイズ、ここが好き:この運動は、小指側の筋肉(ルンブリカル)を強化し、握力に加えて指の協調性も向上させます。
小指筋強化の代替エクササイズ:テーブルやカウンターの上に手を平らに置き、指先を強く押しながら前後にこすります。さらに、指の関節をまっすぐ保ち、ナックル(第2関節)だけを動かして前後に動かします。強く押すほど効果が高まります。

4. ピンチキャリー
シリンダーキャリーでは指を筒状の物体の周りに巻きつけて握りますが、ピンチキャリーでは、指を物の側面に沿わせて挟むように持ちます。このエクササイズには、1分間しっかりコントロールできる最大サイズの本を使うと効果的です。捨てずにとっておいた古い百科事典が、思わぬ形で役立つかもしれません。
練習のコツ:近くに本がない場合(たとえばジムなど)、ウェイトプレートを代用することもできます。
ステップ1:シリンダーキャリーと同様に構えます。
ステップ2:本をピンチするように握り、1分間歩きます。強く握りすぎず、落とさない程度にしっかり持ちましょう。
ステップ3:1分持つごとに1セット。両手で3セットずつを目指しましょう。同じサイズの本が2冊あれば、両手同時にも行えます。
このエクササイズ、ここが好き:このエクササイズは「やるか、落とすか」の緊張感があり、本を落とさないように一定の圧力を維持する必要があります。

5. 足上げ運動(レッグリフト)
これまで手のトレーニングに集中してきましたが、そろそろ足も嫉妬してきたかもしれません。理由はどうであれ、足のトレーニングも取り入れましょう。
ステップ1:タオル絞りで使ったバスタオルを縦に折り、椅子に座った状態で足をタオルの下部ループに通し、もう一方の端を片手でしっかり握ります。
ステップ2:右手でタオルを握り、右足の重みを使って引き上げます。このとき、足の筋肉を使わないようにし、「足が重い」などと心の中で言わないようにしましょう。足を10〜15cmほど持ち上げたら、ゆっくりと下ろします。
ステップ3:手の力だけで足を持ち上げる動作を繰り返します。
ステップ4:1回の持ち上げと下ろしが1回分です。片手で左右それぞれ3セット、12〜15回ずつ行います。片側ずつでも、交互に行っても構いません。
修正:片手で足を持ち上げるのが難しい場合は、両手でタオルを握り、回数を倍にしましょう。
このエクササイズ、ここが好き:私の経験では、「ジムで得られる筋力」と「実際に役立つ力」は異なることがあります。後者は、物事を実際にやり遂げる「リアルな強さ」です。このエクササイズはまさにそれを養います。

6. ハンドグリッパー
握力を鍛える器具「ハンドグリッパー」は昔から親しまれてきました。シンプルなバネ式の道具で、何も考えずに手の力を鍛えることができます。抵抗の強さは軽いものから非常に重いものまで様々です。
ステップ1:まず、手を洗ってしっかり乾かします。油分があると握りにくくなるため、清潔な状態で始めましょう。
ステップ2:グリッパーを握り、1秒かけてハンドルをできる限り近づけていきます。最初はハンドルが完全に接触しなくても問題ありません。握力は少しずつ向上します。半分だけでも効果はあります。
ステップ3:1秒間そのまま保持し、ゆっくり手を緩めてグリッパーを開きます。この動作が1回分です。左右それぞれで3セット、各10回を目安に行い、必要に応じて調整しましょう。
修正:強さの異なるグリッパーが多種市販されています。10回×3セットでしっかり負荷を感じられるものを選びましょう。完全に閉じなくても、「最大限握る」ことが大切です。
このエクササイズ、ここが好き:グリッパーは、安価でありながら非常に効果的な筋力トレーニング器具です。1セット購入すれば長く使え、耐久性も抜群です。

強い手は、日常生活の多くの作業をスムーズにこなす力となり、自信をもたらします。新しい出会いの場でも、あなたの握手に感心されることでしょう(ただし、相手の手を痛めないようご注意ください)。
手のエクササイズは、ほぼどこでも行えます。このルーチンが、あなたが求める強い握力を得るための一助となれば幸いです。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 日比野真吾)
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