ネギ、生姜、ニンニクは香り豊かな調味料であると同時に、薬効も備えた食材です。これらを日々の食事に取り入れることで、心血管の健康を支え、がん予防にも貢献する可能性があります。ただし、正しい組み合わせと適切な摂取量を守ることが大切です。
ニンニクの健康効果と用途
ニンニクは、その主成分アリシンにより、がん予防に最も効果的な食品の一つとして広く知られています。2022年のレビューでは、アリシンがさまざまな腫瘍、特に胃がんや大腸がんの成長を抑制する可能性があることが明らかにされました。
がん予防に加えて、ニンニクは血管の老化を遅らせ、血圧を下げ、動脈硬化や動脈内のプラーク蓄積を防ぐことで、心血管の健康を支えます。ある投与量反応試験では、高血圧患者が12週間にわたり熟成ニンニク抽出物のカプセルを摂取した結果、対照群と比較して平均収縮期血圧が約12mmHg低下したことが確認されました。
ニンニクの薬効は数世紀にわたり認識されてきました。中国の古典医学書『本草備要』では、ニンニクは食欲を刺激し、脾臓を強化し、臓器の機能を助け、疫病を防ぐ薬として記述されています。ニンニクは、体内のエネルギーの流れを整え、健康的な消化と強力な免疫系を促進すると信じられています。
古代の人々もニンニクの抗炎症作用を認識しており、痔や瘻管の治療に利用していました。中には、ニンニクの茎を焼いて灰にし、それを傷に塗って炎症を和らげた人もいたようです。
2024年の包括的なレビューでは、ニンニクには抗菌作用、抗炎症作用、免疫調節作用があり、肝臓、腎臓、消化器系を保護する作用もあることが示されました。
過剰なニンニク摂取の潜在的リスク
ニンニクには多くの健康効果がありますが、摂取量には注意が必要です。1日に3〜5片が適量とされ、過剰に摂取すると、目や肺に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に視力の弱い人には注意が必要です。過去には、ニンニクが大好きで大量に食べていた患者が、目の充血や刺激を訴えたことがありました。その後、ニンニクを食べた後に濃いお茶を飲むようアドバイスしたところ、症状が軽減されたという例があります。
また、胃潰瘍や逆流性食道炎を患っている人は、ニンニクの摂取に注意すべきです。特に生のニンニクは胃の粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
ニンニクの口臭を消す方法
ニンニクは強い香りが残るため、食後の口臭が気になることがあります。これを軽減する簡単な方法は、食後にピーナッツを数粒食べたり、牛乳を一杯飲むことです。ピーナッツや牛乳に含まれるタンパク質が、アリシン中の硫黄化合物と結びつき、臭いを効果的に中和します。
ネギの健康効果と用途
ニンニクと同様に、ネギには抗菌作用のある硫黄化合物が含まれており、がんのリスクを軽減するのに役立つ可能性があります。
比較研究では、ネギとニンニクから抽出された硫黄化合物が腫瘍細胞の増殖を抑制できることがわかりました。特定の濃度では、これらの化合物は正常細胞には無毒でありながら、抗腫瘍効果を発揮します。
さらに、ネギには水溶性食物繊維の一種であるペクチンが含まれているため、便秘の緩和にも役立ちます。ペクチンは便の水分量を増やし、健康的な排便を促進します。

ネギは多用途な食材で、シンプルな料理に風味を加え、健康効果も提供します。以下に、その風味と薬効を最大限に活かす2つの簡単なレシピを示します。
◆ネギと豚肉の炒め物:レシピ
柔らかい豚肉と香り高いネギを使った、シンプルで風味豊かな料理です。
材料:
- ごま油またはその他の食用油 小さじ1/2
- 豚バラ肉または豚肩肉 200g(薄切り)
- 料理酒 小さじ1/2(任意)
- ネギ 4~5本(5センチの長さに切る)
- 醤油 大さじ1
- 塩 小さじ1/2(お好みで調整)
- 白コショウ 少々(任意)
作り方:
- 中火でフライパンまたは中華鍋にごま油を熱します。
- 豚肉を加え、茶色くなり脂がにじむまで炒めます。
- 必要に応じて料理酒を加え、さらに1分炒めます。
- ネギを加え、柔らかくなりつつも鮮やかな緑色を保つまで1〜2分炒めます。
- 醤油、塩、白コショウで味を調え、よく混ぜます。
- ご飯と一緒に、または付け合わせとして熱いうちに召し上がってください。
このシンプルで美味しい料理は、豚の脂のコクとネギの自然な甘みが合わさって、満足感のある一品となります。定期的に食べることで、消化器系の健康を支え、大腸がんのリスク低下に役立つ可能性があります。
◆ネギスープ:レシピ
免疫力をサポートし、風邪の初期症状を和らげる、シンプルで伝統的な家庭療法です。
材料:
- 水:500ml
- ネギ:3本(下部の白い部分を使用)
作り方:
- 小鍋で水を沸騰させます。
- みじん切りにしたネギを加え、1分間煮ます。
- 火を止め、鍋にふたをしてさらに1分間蒸らします。
- ネギを取り除き、温かいうちにスープを飲んでください。
季節の変わり目は、寒暖差が風邪の原因になりがちです。中医学では、ネギの白い部分が風邪治療に一般的に使用されます。ネギは発汗を促し、冷えを排出して血行を改善し、体の「気」と血の流れを整えて体を温めると信じられています。
ネギスープを白米と一緒に炊いて、お粥として風邪症状を和らげるのもおすすめです。
生姜の健康効果と用途
生姜の根には、ジンゲロールとショウガオールという2つの強力な抗がん化合物が含まれています。生姜が熟成するほどジンゲロールの含有量が増えることがわかっています。研究では、ジンゲロールが腫瘍細胞のミトコンドリアを破壊し、アポトーシス(細胞死)を誘発し、がん細胞の転移を抑制できる可能性があることが示されています。
新鮮な生姜を加熱すると、ジンゲロールはショウガオールに変化します。2023年の研究では、ショウガオールが卵巣がん細胞でアポトーシスを誘導することが確認されました。さらに、標的型がん治療薬「ゲフィチニブ」と併用することで、がん細胞の薬剤耐性の発達を防ぐ手助けとなる可能性もあります。
これらの効果を最大限に引き出すために、生姜を日常の食事に取り入れてみましょう。たとえば、野菜料理の風味付け、スープの魚臭さの中和、寒い日には黒糖生姜茶を淹れるなど、いずれもジンゲロールやショウガオールを体に届ける方法です。
夏に生姜を食べる
中医学では、食品や薬草は「冷性」「温性」などの性質に基づいて分類されます。冷性や涼性の食品は体を冷やし、温性や熱性の食品は体を温める効果があるとされます。
中国のことわざに「冬に大根、夏に生姜を食べれば医者いらず」という言葉があるように、生姜は温性を持ち、夏に摂ることで体内の冷えを取り除き、胃を温める助けとなります。
暑い季節になると、多くの人がエアコンを低温に設定し、冷たい飲み物を好むようになります。一見快適に思えるこれらの習慣は、消化器系に負担をかける恐れがあります。
中医学では、胃とその関連臓器である脾臓は温かい環境で最も良く機能すると考えられており、過度な冷えには敏感です。冷たい食べ物や飲み物の摂取が続くと、胃と脾に冷えが溜まり、胃痛や下痢などの消化器系のトラブルを招く可能性があります。
したがって、夏でも消化器系を温かく保つことが大切です。そのための一つの方法が、食事やスープに生姜を加えることです。たとえば、生姜の千切りをエリンギと豚肉の細切りと一緒に炒めて、軽くて風味豊かな一品にするのもおすすめです。また、緑豆スープに生姜のスライスを数枚加えれば、冷却作用の強い豆の効果をバランスよく調整できます。
脾と胃を強化することは、体の中の余分な冷えや湿気を取り除くのに役立ちます。
中医学における臓器システム理論では、「脾」は解剖学的な脾臓だけでなく、膵臓や消化管も含むエネルギー系統を意味します。脾が過剰な冷えにより弱まると、体内の水分代謝が低下し、湿気が溜まりやすくなります。これが原因で、膨満感、疲労感、関節の痛みなどの症状が現れることがあります。湿気が取り除かれると、体は軽くなり、活力を感じるようになります。
冬に手足の冷えを感じやすい人には、ジンジャーブラックティーが体をすぐに温めるのに効果的です。
◆ジンジャーブラックティー:レシピ
冷えを和らげ、胃を落ち着かせる、温かくて心地よい飲み物です。
材料:
- すりおろした熟成生姜 大さじ1(または生姜汁 小さじ1〜2)
- 熱いブラックティー 1カップ(240ml)
- 黒糖 小さじ1〜2(お好みで調整)
作り方:
- 熟した生姜をよく洗い、細かくすりおろします。
- ブラックティーを淹れます。
- 生姜または生姜汁を加え、黒糖でお好みの甘さに調整します。
- よく混ぜて、熱いうちにお楽しみください。

市販の黒糖生姜キューブを使えば、ブラックティーに加えるだけで手軽に楽しむこともできます。
すりおろした生姜の繊維が気になる場合は、生姜汁に置き換えてもよいでしょう。ジンジャーブラックティーを飲むことで胃が温まり、冷えが解消され、体がほっとしてリラックスした気分になります。
(翻訳編集 日比野真吾)
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