(3dMediSphere/Shutterstock)
菌で菌を制す

微生物で病原菌を制す 腸の治療に革命

クロストリジウム・ディフィシル(C. diff)は、状況によって、人体にとって危険を及ぼす敵となることもあれば、共存することもあります。

通常、C. diff は腸内に少量存在しており、腸内細菌叢のバランスによって増殖が抑えられているため、害を及ぼすことはありません。しかし、抗生物質は正常な腸内細菌を破壊し、C. diff の増殖を招き、毒素を放出して重度の腸炎を引き起こすことがあります。その結果、下痢や腹痛などの症状が現れ、時には命にかかわる大腸炎や結腸の炎症を引き起こすこともあります。

米国では毎年50万人がC. diffに感染し、そのうち約2万3900人が死亡しています。また、6人に1人は再感染しています。

▶ 続きを読む
関連記事
大腸がんは「いつ治癒といえるのか」。3万5,000人超のデータから、手術後6年で再発率が0.5%未満になる重要な節目が判明。長年の不安に明確な指標を与える最新研究の意義を分かりやすく紹介します。
更年期以降、腸内細菌叢の変化が炎症やホルモン代謝に影響し、乳がんなど一部のがんリスクに関係する可能性があります。腸の乱れとがんの関連、改善策を解説します。
生はちみつに皮をむいたニンニクを漬けると、自然な発酵が進み、抗酸化作用と免疫サポート力のある発酵食品になります。そのまま食べてもよし、料理に使ってもよし。腸と全身の健康をサポートする自然療法です。
苦味は消化を刺激し、胃酸・胆汁の分泌を高めて代謝をサポートします。GLP-1などのホルモンにも働きかけ、血糖の安定や食欲抑制にも効果が期待されます。腸内環境の改善にも有用とされる注目の習慣です。
薬は体から抜けても、腸は“数年後まで覚えている”――最新研究が示す驚きの事実。抗生物質だけでなく一般薬も腸内環境を変える理由と、その影響を最小限にするための知識を紹介します。