2017年、トランプ大統領は一期目の任期中にサウジアラビアを訪れ、サルマーン王太子と会談した。(Mandel Ngan/AFP via Getty Images)

サウジ原油増産と米ウクライナ鉱物協定 ロシアに新たな挑戦

サウジアラビアが原油増産方針を示し、アメリカとウクライナが鉱物資源に関する協定を締結したことで、世界のエネルギー市場とロシア経済に、大きな影響が及んだ。本稿では、その最新動向と今後の展望について考察する。

トランプ政権発足後の最初の100日間、経済政策や外交姿勢に対する世論の評価は低迷し、アメリカ国内には懸念の声が広がった。そうした中、4月30日に注目すべき2つの動きが報じられた。サウジアラビアが原油の減産を拒否し、アメリカとウクライナが歴史的な鉱物協定を締結した。この2件の動きは何を意味するのか、以下に整理してみよう。

ロイターによれば、交渉の事情を把握する5人の関係者の証言によって、サウジアラビア政府は、同盟国および業界関係者に対し、これ以上の供給削減は行わず、長期的な低油価にも対応可能との立場を示し、この姿勢は、OPECプラスを主導するサウジが、5年ぶりに増産路線へ転換し、市場シェアの拡大を狙う戦略に移行した可能性を示す。

▶ 続きを読む
関連記事
米露中首脳会談の背景やウクライナ和平の現実、そして身勝手なダブルスタンダードを続けるヨーロッパに対するトランプ政権の冷徹な現実主義を解説した論考
欧州で拡大する激しい暴動と、世界で加速する国境の形骸化。一見無関係に見える「街頭での暴力」と「グローバリズム」の裏に潜む計画的な破壊工作とは?ニュースの表面からは見えない社会危機の構造を解き明かす
中間選挙後のトランプ弾劾の可能性をニクソン辞任劇と比較。ベトナム敗退の歴史から台湾侵攻リスクを警告しつつ、レーガン流の強硬路線による抑止シナリオも対比して今後の米中関係と国際秩序の行方を占う
中国の貿易黒字は過去最高を更新する見通しだ。しかし、輸出好調の陰では内需との不均衡が深まり、貿易摩擦も激化。金融支援に潜む不良債権リスクや輸出企業の採算悪化など、巨額黒字が抱える三つの代償を読み解く
気候訴訟を起こす牧場主らに対し、現代文明と農業を支える石油の恩恵を自覚すべきだと説く論考。人間を地球の害悪とみなす風潮や過度な脱炭素論に異を唱え、環境再生の主体としての農と人の役割を問い直す