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ギリシャの長寿島、認知症ゼロに導く2つの飲み物

ギリシャのイカリア島(Ikaria)は、世界でも珍しい長寿の島であり、いわゆる「ブルーゾーン(Blue Zone)」の一つとされています。この島の住民は、アメリカ人より平均で8〜10年も長生きし、さらに認知症になる人がほとんどいないことでも知られています。専門家によると、彼らの長寿の秘訣は「地中海式の食生活」と「2種類の飲み物」にあるとのことです。

アメリカの長寿研究家ダン・ビュットナー(Dan Buettner)氏は、世界で特に長寿の人が多い5つの地域を「ブルーゾーン」と名付けました。イカリア島のほか、日本の沖縄県、イタリアのサルデーニャ島(Sardinia)、コスタリカのニコヤ半島(Nicoya Peninsula)、そしてアメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ(Loma Linda)が含まれます。

ビュットナー氏が運営する「ブルーゾーン」ブログによると、人口約1万人のイカリア島では、住民の寿命はアメリカ人より8〜10年長く、心臓病の発症率はアメリカの半分以下、さらにがんの発症率も低いと報告されています。そして、最も驚くべき点は認知症のケースがほぼゼロであることです。

ビュットナー氏によれば、アメリカでは85歳以上になると多くの人がアルツハイマー病(認知症の最も一般的なタイプ)を発症する可能性が高いですが、イカリア島ではその確率が10%以下なのだそうです。この島では、人々は亡くなる直前まで頭が冴えたまま健康に過ごせるといいます。

地中海式の食事(Shutterstock)

 

イカリア島の住民はどのように認知症を防いでいるのか?

ビュットナー氏によると、イカリア島の住民は世界でも最も厳格な地中海式の食生活を実践しています。他の地中海式の食事をとる人々と同様に、彼らは果物や野菜、全粒穀物、豆類、赤ワイン、オリーブオイルを多く摂取します。しかし、魚や肉の摂取量は非常に少なく、野菜の摂取量は圧倒的に多いことが特徴です。

イカリア島の住民は、約100種類の野生植物や自家菜園の野菜を食べる習慣があります。例えば、からし菜、チコリ(菊苣)、フェンネルなどがよく食べられています。これらの野菜には強力な抗酸化作用があり、その含有量は赤ワインの10倍にもなると言われています。

ビュットナー氏は、イカリア島の住民が「ハーブティー」と「コーヒー」をよく飲むことが、認知症リスクの低下につながっていると指摘しています。

イカリア島では、住民が毎日ハーブティーを飲むのが一般的です。これらのハーブティーは、家庭の庭や野外で採れるオレガノ、タンポポ、セージ、ローズマリーなどの植物を使って作られています。

ビュットナー氏はブログの中で、これらのハーブティーについて「抗炎症作用があるだけでなく、ほとんどが穏やかな利尿作用を持っている」と説明しています。さらに、「高血圧の治療において、利尿剤は医師が最初に処方する薬のひとつ」とも述べています。

利尿剤の効果について、彼は「血圧を下げる働きがあり、腎臓のナトリウム排出を助けることで、動脈を健康に保ち、血流をスムーズにする」と説明しています。

実際、ジョンズ・ホプキンズ大学が神経学専門誌『Neurology』に発表した研究によると、利尿剤の使用はアルツハイマー病のリスクを約75%低下させることが確認されています。

また、ビュットナー氏はポッドキャスト番組「Live Well Be Well」の中で、イカリア島の住民が大量のコーヒーを飲むことにも言及しています。

2010年に発表された研究によると、カフェインは認知症やアルツハイマー病の予防に役立つ可能性があることが示されています。特に、中年期に毎日3〜5杯のコーヒーを飲む人は、高齢期における認知症やアルツハイマー病のリスクが65%低下することが確認されています。

コーヒーをより健康的でおいしくするためのヒントをいくつかご紹介します。 (シャッターストック)
研究によると、カフェインは認知症やアルツハイマー病の予防に効果がある可能性があります(Shutterstock)

 

イカリア島の住民が健康で長寿なその他の要因

ビュットナー氏は、イカリア島の住民が健康で長生きする理由として、地中海式の食生活やハーブティー・コーヒーの摂取に加え、自然な運動習慣と社会的なつながりも重要な要素であると指摘しています。

ビュットナー氏はブログの中で、「イカリア島は山が多い地域であり、住民は買い物や友人宅を訪ねるだけでも坂を登る必要がある。そのため、一日を通して自然に軽度の運動を継続的に行っている」と述べています。

また、「イカリア島の住民は、アメリカ人がよく犯す『運動の誤解』をしていない」とも指摘しています。「アメリカ人は、一日中オフィスで座り、夜はテレビの前で過ごした後、ジムで30分運動すればその影響を補えると考えていることが多いです」。

イカリア島の住民は、祭りや教会の集まり、祝賀行事に積極的に参加する傾向があります。ビュットナー氏によれば、「もし参加しなかったら、近所の人が家を訪ねて『どこに行ったの?』と気にかけてくれる」とのことです。このような強い社会的つながりにより、イカリア島の住民はアメリカ人と比べて孤独や抑うつを感じることが少ないといわれています。研究によると、抑うつ状態の人は認知症を発症するリスクが50%高くなることがわかっています。

ビュットナー氏は最後に、「アルツハイマー病や認知症を防ぎたいなら、魔法の薬に頼ったり、80歳になってから生活習慣を改善しようとしたりするのは遅すぎる」と強調しています。

今すぐにでも、こうしたシンプルな生活習慣を取り入れることで、アルツハイマー病をはじめ、ほぼすべての一般的な慢性疾患のリスクを大幅に下げることができるでしょう。

 

(翻訳編集 華山律)

陳俊村