DEIはDiversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称(shutterstock)

公平の罠――強制された平等にどう立ち向かうか

機会の平等は、現代の政治思想において普遍的に支持される理念の一つのようだ。誰もが賛成し、誰も反対しない。しかし、もし誰もがこの理念を徹底的に追求すれば、最も極端な全体主義に行き着くことになるだろう。なぜなら、それを実現するためには、人間の生まれ持った才能や環境による違いを完全になくす必要があるからだ。極論すれば、単一の胚からクローンを作り、幼児を均一に育成する施設を設けるような社会になる。

米国の連邦機関における多様性、公平性、包括性(DEI)の各部門の廃止は、官僚的支配の縮小に向けた歓迎すべき一歩である。確かに、一定の官僚組織は必要不可欠であり、場合によっては評価に値するもののだ。しかし、それが官僚的野心の口実となり、社会への影響力を際限なく拡大させることがあってはならない。

そもそも、DEI運動とは何を意味するのか。まず第一に、この運動は長期間にわたり(多くの場合、人生の少なくとも 4分の1の時間)教育を受けながらも、特定の技能や専門知識を身につけていない人々に職を提供することにある。こうした人々は、強い政治的信念を持ちながらも、実務的な能力には欠けることが多い。こうした人々は、自らを知的エリートと考えながらも、社会で相応の地位を得られないと不満を募らせる。シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」でカエサルが「キャシウスのような痩せて飢えた目をした男は危険だ」と語ったように、野心を持ちながら満たされない者は時に社会に対して破壊的になりうる。

▶ 続きを読む
関連記事
NASAは、月面基地建設や予算再配分による探査加速を鮮明にした。トランプ氏の主導で米国は、中国との宇宙覇権争いで圧倒的優位に立ち、月の戦略的支配を狙う
熊本県にある陸上自衛隊駐屯地に配備された初の「25式地対艦ミサイル」は、射程約1千キロで、中国沿岸および東シナ海の大部分をカバー。この配備により、日本は「遠距離打撃」を実施可能となり、「反撃能力」を備えた。
習近平の側近とみられ、新疆ウイグル自治区などトップを歴任した馬興瑞が重大な規律違反および違法行為の疑いで調査を受けていると新華社が発表した。この事は失脚を意味し、政局は文化大革命以降で最も不安定な局面にあるとされる。
最近、桜の季節に一部の中国人観光客が「桜の木を揺らす」などの迷惑行為を行い、反発が広がっている。一部のSNSやメディアでは、こうした問題を「中国人だから」「中華民族の特性」と一般化する言説も見られるが、事実を正確に捉えておらず、それは中国共産党文化にある
2029年までには完全退役だとも言われているA-10攻撃機。しかしイランの戦場では大活躍。現場からは近接航空支援においてA-10に匹敵する機体は他に存在しないとの声も上がる。筆者は航空支援任務でのF-35の脆弱性を指摘している