インド 最大25%の関税検討 中国鉄鋼に対抗
インド政府は、中国からの安価な鉄鋼輸入を抑えるため、最大25%の関税(セーフガード)の導入を検討している。この提案は、12月17日に商工相ピユシュ・ゴヤル氏が主催した会議で広く支持を得た。
ロイターによると、会議に参加した業界関係者は「調査終了後、緊急関税が導入される可能性が高い。1か月以内の施行が見込まれている」と述べた。
中小企業への配慮と政府の対応
国内中小企業の一部は、鉄鋼価格の上昇が事業コストを圧迫するとの懸念から当初この提案に反対していた。大手メーカーが割引価格で中小メーカーに販売するという保障を受け、反対意見は収まった。
インドの機械輸出促進機構(EEPC)パンカジ・チャダ会長は会議後、
政府に登録している中小企業に、離岸価格(輸出港での引き渡し価格)で鉄鋼を提供する方針を明かした。
これにより、年間約100万トンの鉄鋼を消費する小規模製造業者は、市場価格より約20%安い価格で原材料を調達できる見通しだ。
中国製鉄鋼の急増とインド市場の現状
インドは2023〜24会計年度から鉄鋼の純輸入国となり、輸入量は急増している。今年4~10月の間で輸入量は過去最高を記録。この傾向により、国内小規模鉄鋼メーカーは価格競争力を失い、危機感が広がっている。
インドの主要鉄鋼メーカーであるJSWスチールやタタ・スチール、アルセロール・ミタル日鉄(インド子会社)も、中国製の安価な鉄鋼が国内市場を圧迫していることに強い懸念を示している。
グローバルな対策とインドの動向
中国では、経済成長の重要な原動力である不動産部門が落ち込んだ後、中国共産党当局は製造業に注力しているが、過剰生産の問題が起きた。海外で製品をダンピングすることが解決策となったが、多くの国々が対抗策として、追加関税や輸入制限を実施するようになった。
ウォール・ストリート・ジャーナルは以前、安価な中国製品の輸入が発展途上国の工場にコスト競争の圧力をかけ、雇用の減少を引き起こし、国内製造業の発展を妨げていると報じた。
多くの国々が対抗措置を講じ、自国の経済成長を促進し、国際的な地位を向上させる重要な手段として製造業の拡大に期待を寄せている。今年5月、米国は中国から輸入される鉄鋼およびアルミニウム製品に対する関税を引き上げた。また、8月にはカナダが中国製鉄鋼およびアルミニウム製品に追加関税を課すことを発表した。さらに、米国、カナダ、欧州連合(EU)は、中国からの輸入電気自動車(EV)にもさまざまな水準の関税を導入している。
インドでも、国内製造業の保護と中国製品の依存から脱却するため、緊急関税の導入が現実味を帯びてきた。貿易救済総局(DGTR)は現在、中国製鉄鋼が国内市場に与える影響を調査中であり、その結果次第では2年間の関税が導入される可能性が高い。