脳力アップ! 認知機能を支える4つの栄養素を取り入れよう

の健康は、私たちの全身の健康にも大きく影響します。特に記憶力は、認知機能を測る重要な指標のひとつです。日々の学びや思い出を支える「海馬」という脳の部分は、加齢とともに徐々に衰えてしまいます。でも、ちょっとした工夫でその働きをサポートできるんです! 今回は、海馬を守りながら、認知機能を高めるために役立つ4つの栄養素をご紹介します。
 

海馬って何をしているの?

海馬は脳の中に左右1つずつあり、私たちの記憶や学習に深く関わっています。具体的には、次のような役割があります:

新しい情報の処理と保存
海馬は、新しい情報を記憶として整理し、学習に欠かせない働きをしています。

記憶の統合と形成
短期的な記憶を長期的な記憶に変え、しっかりと脳に刻み込む手助けをします。

空間記憶の管理
例えば、家の中で何がどこにあるかを覚えたり、道順を思い出すときに活躍します。

エピソード記憶の保存
昨日行った場所や楽しかった出来事など、個人的な体験を詳細に覚えておく力です。
 

海馬がダメージを受けるとどうなるの?

海馬がダメージを受けると、特に短期記憶に影響が出ます。新しい情報を覚えにくくなったり、昨日の出来事を思い出せなくなることがあります。また、過去の思い出を突然忘れてしまうことも…。さらに、空間認識が弱まり、慣れた場所でさえ迷いやすくなることもあります。

 

海馬を守る4つの栄養素

海馬は記憶や空間認識に欠かせない部分ですが、これをしっかりサポートしてくれる栄養素があるんです。ここでは、臨床的な証拠に基づいて、海馬を保護し、記憶力や認知機能を高める効果が期待される栄養素を紹介します。

1. オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、魚やナッツ類に豊富に含まれ、脳の健康維持に欠かせない成分です。特にDHAやEPAといった種類が、海馬の機能をサポートすることが分かっています。

研究例1
70代の女性が軽度の認知障害を抱えていましたが、魚油サプリメントを6か月間摂取した結果、記憶力と認知機能が大きく改善。MRI検査では海馬の萎縮が遅くなっていることが確認されました。

研究例2
アルツハイマー病の初期段階にある65歳の男性も、1年間オメガ3サプリメントを摂取。記憶力の回復は見られなかったものの、認知機能の悪化が止まり、海馬の萎縮も遅くなっていることが分かりました。

これらの研究から、オメガ3脂肪酸は海馬の健康を維持し、認知機能の低下を防ぐ効果が期待されています。

 

2. 抗酸化物質

抗酸化物質は、海馬を酸化ストレスから守る重要な成分です。ブルーベリーやダークチョコレートなどに含まれるこれらの成分が、脳の健康をサポートします。

研究例1
72歳の男性は記憶障害の初期段階でしたが、抗酸化物質が豊富な食品を積極的に摂ることで、6か月後には認知機能が向上しました。ブルーベリーやダークチョコレートを取り入れ、砂糖や揚げ物を控えた結果、記憶力と情報処理速度が改善。血液検査でも酸化ストレスの減少が確認されました。

ランダム化比較試験の結果
ブルーベリーに含まれるポリフェノールが、高齢者のエピソード記憶や実行機能を向上させる効果を示しています。また、ダークチョコレートも認知機能をサポートすることが研究で確認されています。

女性患者の例
65歳の女性は閉経後に記憶力の低下を感じていましたが、ビタミンCとEのサプリメントを9か月摂取することで、短期記憶が大きく改善しました。これにより、抗酸化物質が海馬の保護に役立つことが示唆されています。

 

3. ビタミンB12

ビタミンB12は、認知機能や海馬の健康に深く関わっています。欠乏すると、記憶力の低下や海馬の萎縮につながる可能性があります。

研究例1
ビタミンB12欠乏が原因で認知機能の低下を経験していた若い女性が、数か月間のビタミンB12注射を受けた結果、認知機能と記憶力が大幅に改善しました。このような結果は、若年層でもビタミンB12不足に注意する必要性を強調しています。

ビタミンB12を適切に補給することで、短期間であっても認知機能の改善が期待できることが臨床試験で示されています。

 

4. クルクミン

クルクミンは、ターメリック(ウコン)に含まれる成分で、抗炎症作用と神経を保護する効果があります。この成分が海馬の健康に良い影響を与えることが、さまざまな研究で示されています。

研究
60歳の軽度認知障害を持つ患者が、他の治療と並行して高用量のクルクミンを6か月間摂取しました。その結果、記憶力と認知機能が向上し、神経心理学的評価でも海馬機能の一部が回復していることが確認されました。

クルクミンはアルツハイマー病の進行を遅らせ、認知機能や運動機能の改善にも寄与する可能性があります。しかし、認知機能の改善には個人差があるため、具体的な治療については医療専門家と相談することが大切です。

この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。

(翻訳編集 華山律)

慢性的な精神、行動、身体の病気を対象とした統合医療医。中国医学の医師。精神科認定医。統合医療の楊研究所とアメリカ臨床鍼灸研究所の創設者兼ニューヨーク北部医療センターのCEO。『Integrative Psychiatry(統合精神医学)』、『Medicine Matters(医学の重要性)』、『Integrative Therapies for Cancer(癌の統合療法)』に貢献。また、ハーパーコリンズの『Facing East: Ancient Secrets for Beauty+Health for Modern Age(現代の美と健康のための古代養生法)』とオックスフォード大学出版局の『Clinical Acupuncture and Ancient Chinese Medicine(臨床鍼灸と古代中国医学)』の共著者。
M.D.