「梁山伯と祝英台」の物語

「梁山伯と祝英台」の民話は、数千年以上前に遡る物語です。身分は低いが心優しく気取りのない若い学者、梁山伯と、富裕な家の娘で魅力的だが絶対に譲らない性格の祝英台が意気投合する物語です。

 

男性だけが学べる?

古代中国では男性と女性は分離され、社会の求める従来のしきたりに沿って行動していました。娘の結婚は両親が決めるものでしたが、様々な角度から適切な伴侶を考慮し、経験豊かな仲人に助けを求めました。

物語では、富裕な祝家の両親が適齢期の娘にぴったり合った伴侶を探しているところから始まります。美しい女性に成長した娘の英台は、輝く目と繊細な微笑みを備えながらも、知性に秀で、固い決意を持っていました。刺繍などの花嫁修業もいいけれど、巻物に首をつっこみ、勉学に勤しむ時が至福のひとときでした。

豪華な祝家の中庭に花が咲きほころび蝶が舞う、ある春の日、敬愛する両親とすれ違った英台は、今こそ自分の気持ちを親に伝えるときだと心に決めました。

「お父様、お母様、学業に励み、文学・五徳を学び、古代の聖人の道に進みたいと思います…」

「馬鹿なことを言うんじゃない! 学業は男性の道だよ。お前は相応しい人と逢う準備をしなければね。お前をおめかしさせようと女官たちが待っているよ」と母親は彼女の願いを一蹴しました。

多くの女官が器用に自分を飾り立てる間、英台は意気消沈していました。プロの仲人―当地では最も経験豊かで最高の仲人―が到着する寸前に身支度が整いました。

この風変わりな女性が通り過ぎるのを見、さらにこの女性が連れてきた独身の男性を目にし、英台はショックを受けました。これまで目にした中で最も奇妙な人間だったからです。査定する必要もありません。彼女にとって、この男性の頭脳、体格、外観すべてが0点でした。

「学業を犠牲にしてこの男性と一緒になる? 冗談でしょう」と英台は思い、病に伏すことを思いつき、仲人と花婿候補を追い払いました。

 

学業の道に進む英台

絶対に学業を修めると決意した英台は、ある夜、若い男に扮装し、家をこっそりと抜け出します。しかし旅路は長く辛いものでした。幸運にも同じ場所に向かう学者に出逢い、共に旅することになりました。英台が扮装しているとは露とも知らず、新しい学生をエスコートしているとこの学者は思っていました。

祝英台と梁山伯は同じ机で学ぶだけでなく、同じ宿舎で生活しました。祝英台と違い、梁山伯は富裕な家族の出身ではありませんでした。しかし二人は「兄弟」のを深めていきました。3年間彼らは共に学業に励みました。この間ずっと、祝英台は本当の自分を明かさないように気をつけ、梁山伯は彼女の秘密には気が付きませんでした。 

 

まさか!

ようやく祝英台の居場所をつきとめた父が、ある日、学び舎に現れ、娘に戻るように命じます。仲人はさらに数名の候補をみつけており、相手を決めるときが来たというのです。英台は家に戻るしかありませんでした。英台は自分の秘密は明かさずに、梁山伯に自分の家を訪れるように懇願します。梁は初めて何かがあると気づきます。

梁が祝の家に着いたときは、祝いの準備の真っ最中でした。同じ学び舎にいた者だが、この家の息子、祝氏に会いに来たと門番に告げると、ここには若い淑女の英台しかいないと言われます。

英台は、梁を見て喜び、他の候補者には目もくれません。一方、梁は、親友が女性の服を着ていることに当惑しますが、3年間に経験した些細なおかしな出来事の理由がすべて明白になります。

目からウロコでした。何も気づかなかった自分にショックを受けると同時に、親友を全く別の視点で見て、喜びで口がきけないほどでした。

 

――「神韻芸術団」(日本語ホームページ)より転載