ブダペストで過ごす24時間

まず、おとぎ話を思わせるブダ城地区にある最も有名なモニュメント、フィッシャーマンズ・バスティオンから始めて、街の素晴らしい景色を楽しみましょう。その後は、歴史やグルメに触れ、そして見逃せない壮大な温泉施設もぜひ訪れてください。

ハンガリーの活気ある首都を訪問した際には、まるで「二つの都市の物語」を紡ぐような体験ができます。美しいブルーのドナウ川で分けられた街の両側は、それぞれが独特のキャラクター、リズム、雰囲気を持っています。ブダは丘を登り、ドームや塔、城が川から離れてそびえ立っています。

セーチェーニ鎖橋の反対側にあるペストは、活気に満ちた表情であなたを迎え、誘われるでしょう。24時間で二つの街を巡るのは忙しいかもしれませんが、それは楽しい冒険になること間違いなしです。ツアー例を挙げてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
 

★到着★

美しいブダペストの風景(Sanga Park / PIXTA)

ブダペストのリスト・フェレンツ国際空港(BUD)は、地元では旧名のフェリヘジとしても知られており、セーチェーニ鎖橋から約22キロメートル南東に位置しています。北米からの直行便は少ないですが、空港は韓国、ドバイ、イスタンブールからの直行便を含む多くの国際線を受け入れています。また、ハンガリーの格安航空会社ウィズエアーの主要拠点でもあります。

市中心部へは(車で約30分から45分)、いくつかの選択肢があります。ライドシェアサービスのBoltを使えば約3~4千円で行けます。もう少し節約したいなら、空港の到着階から出発し、市内中心部へ直行する100Eバスまたは200Eバス(約400円)を利用するのが良いでしょう。
 

★早朝★

新しい街に着いたら、まずはその土地の様子を知ることが重要です。ブダペストでは、これがとても簡単です。川から高台に向かって、ぐんぐんと登っていきます。ブダ地区を蛇行する坂道を登ることは、長旅の疲れを癒し、体を動かすのに最適な方法です。

フィッシャーマンズ・バスティオン(漁夫の砦)からの景色は、街中で一番素晴らしいものです。足下に広がる街並み、そしてその中を流れるドナウ川の大きな輪。コーヒーとクロワッサンを楽しみながら、ゆっくりと一日の計画を練りましょう。

バスティオン自体も、その美しさと歴史的価値で知られています。かつては城壁の一部であり、漁師たちの組合がこの地を守っていたという伝説が残っています。現在の建物は19世紀後半に建てられたもので、ハンガリー建国の初代首長7人を象徴する新ロマネスク様式の7つの塔があります。

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川の向こう側から見た国会議事堂の眺め。 (tunart/iStock/Getty Images)
見張り塔のある漁夫の砦はまるでおとぎ話から飛び出してきたよう(c6210 / PIXTA)

そこからブダ城までは歩いてすぐです。城地区とも呼ばれる広大な丘の頂に位置しています。石畳の通りを歩きながら一日を過ごすのも良いですが、城内のツアーに参加することをお勧めします。

ハンガリー王は1265年にこの地に最初の王宮を築きましたが、現在そびえ立つ壮麗なバロック様式の宮殿の大部分は18世紀半ばに遡ります。王宮ツアーでは、内部を案内され、最近になって原状復元された壮麗な聖スティーブンホールを訪れることができます。

さらに、城の地下に広がる迷宮のようなトンネルや地下室、防空ごうを巡る洞窟ツアーに参加してみてください。

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バロック建築物を見て回るにしても、活気ある歩行者専用道路を見て回るにしても、ハンガリーの首都は徒歩での探索に最適です。 (Ljubomir Žarković/Unsplash)
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聖イシュトヴァーン大聖堂は、ハンガリーの初代国王イシュトヴァーン(975年頃~1038年)にちなんで名付けられました。(StockByM/iStock/Getty Images)

 

★午後★

城下町エリアには、市内屈指の歴史博物館や国立図書館、国立ギャラリーなど、数々の見どころがあります。それぞれ何時間でも楽しめますが、特に国立ギャラリーは国内の一流アーティストの作品が展示されており、見逃せません。ブダでの朝の散策の後は、午後はペスト地区で過ごしましょう。

ドナウ川まで下り、川沿いを歩いて約35分で大市場ホールに着きます。疲れたら、街を走る路面電車に乗るのも、地元ならではの体験です。リバティ橋を渡ると、市内で最も大きく歴史ある屋内市場が目の前に広がります。

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自由橋はブダ地区とペスト地区を結んでいます。(Alexander Spatari/Getty Images)
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1897 年に建てられたブダペスト最古かつ最大の屋内市場であるグレート マーケット ホール(RossHelen/Shutterstock)
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グレートマーケットホールには、ラベンダー、チョコレート、トリュフ、蜂蜜のほか、農産物や肉などの日用品を売る店がたくさん並んでいる(fornStudio/Shutterstock)

 

その高くそびえる鋼鉄の構造はギュスターヴ・エッフェルを連想させますが、実際にはよく誤解される彼ではなく、ブダペスト出身のサム・ペッツがこの賑やかで明るい建物の設計を手がけました。

1897年に開業したこの建物は第二次世界大戦での爆撃により損傷を受け、ハンガリーが東側ブロックに属していた期間は放置されていましたが、共産主義が終わった1997年に再び生まれ変わり、再開されました。

ここはお腹を空かせて訪れましょう。地下の魚市場を探検した後は、ハンガリーの代表的で高品質な商品を扱う数多くの露店を巡ります。

これらの品物には、国のスパイスであるパプリカ、地元のソーセージ、チーズ、トカイワイン地方のワインなど、様々な商品があります。(ワインはハンガリーのアイデンティティの中心であるため、国歌にも登場しています)

昼食には、ホットフードカウンターでパンのダンプリングを添えたグーラッシュなど、温かくてボリュームのある料理を楽しむと良いでしょう。これが忙しい午後と夜に向けての活力となるに違いありません。

食後は、道を渡ってすぐのヴァーチ通りを散歩し、少し運動をするのも良いのではないでしょうか。ここは市内の主要な歩行者専用ショッピングストリートで、国際的なブランドや歩道沿いのカフェが立ち並びます。全長はわずか1.6キロメートル未満ですが、店内をゆっくり見て回ったり、カフェでコーヒーを楽しんだりしながら、のんびりと時間を過ごしたくなることでしょう。

ヴァーチ通りを数ブロック進むと、ブダペストの象徴的なホテル、「フォーシーズンズホテル グレシャムパレス」が見えてきます。客室は高価ですが、ブダペストの黄金時代を祝福する豪華なロビーバー「ムジャ」で一杯飲むことをお勧めします。メニューにはハンガリーの上質な飲み物が揃っており、特に人気のフルーツブランデー「パリンカ」の飲み比べセットも楽しむことができます。

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ヴァーチ通りを歩く人々は、市内の歩行者専用ショッピングエリアを楽しんでいる(Vivida Photo PC/Shuttesrtock)

そこからすぐのところに、ペストでも特におしゃれな地区の一つ、ユダヤ人街があります。かつて裕福な人々が住んでいた美しい19世紀の建物、シンプラ ・ケルト(Szimpla Kert)を覗いてみてください。

現在は、街の中でも特に有名な「廃墟バー」の一つで、トラバント(東ドイツ製の車)にもたれながらビールを楽しんだり、空のバスタブに入ってみたりできる、奇想天外な体験ができます。時差ボケでお困りなら、夜遅くにもう一度訪れてみてください。このバーは午前4時まで音楽と活気に満ちています。

近くのゴズドゥ ウドヴァル(Gozsdu Udvar)にも少し時間を割いてみてください。この通りは、街にある数多くの通路の一つで、7つの建物とその中庭をつないでいます。ショップやバー、レストランが並び、ハンガリーで人気のストリートフードを提供するランゴス ビストロ(Langos Bistro)では、チーズとサワークリームをのせたカリカリのランゴスが味わえます。この料理はハンガリーの長い歴史を持っています。昔は週に一度のパン焼きの際、レンガのオーブンで共に作られていました。その名前は「炎」を意味します。

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ユダヤ人街のゴズドゥ中庭は、第二次世界大戦前には多くのユダヤ人の店が軒を連ねていた。今では、そこには様々なレストランが立ち並んでいる(Melinda Nagy/Shutterstock)

 

★夕方★

忙しい一日でしたね。そろそろ、ゆっくり休みましょう。セーチェーニ温泉へ出かけてみてはいかがでしょうか。この温泉は、1913年に開業し、創業者が地下深くの自然温泉水を引いて作られました。今では、ネオバロック様式の豪華な宮殿のような雰囲気です。屋内には15の浴槽、屋外には3つの大きなプールがあり、リラックスしながら冷たい生ビールを楽しむこともできます。

サウナで汗を流した後は、シャワーを浴びて、着替えをし、記憶に残る夕食に備えましょう。ドナウ川の中央から夜のブダペストの輝きを眺めると、その美しさは他に類を見ないでしょう。

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1913 年に建てられたセーチェーニ温泉には、10 のサウナとスチームルームのほか、15 の屋内浴場と 3 つのプールがあります。(Julian Elliott Photography/Getty Images)
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セーチェーニ温泉宮殿のドームは華やかなモザイクで飾られています。(nimu1956/iStock/Getty Images)

 

数々の企業が提供する、遊覧船の船内では、コース料理やトカイワインを楽しめて、まったりとしたひと時をお過ごしいただけます。一日を終えて乾杯していると、国会議事堂やブダ城、そして頭上に架かるセーチェーニ鎖橋の灯りが次々と通り過ぎていきます。その灯りはきらめき、あなたを魅了し、再訪を誘うのです。

 

(翻訳編集:柴めぐみ)

素晴らしいストーリーを求めて世界中を旅するトロント在住のライター。7大陸140カ国を訪れ、ボツワナでライオンを徒歩で追跡し、モンゴルで恐竜の骨を発掘し、サウスジョージア島で50万羽のペンギンの間を歩いた。CNNトラベル、ブルームバーグ、ザ・グローブ・アンド・メールなど、北米最大の出版物に寄稿。