筆者が見た2014年のチョルノービリ原子力発電所の状況。エネルギー取材は奥深く、その持つリスクを考えさせるものだ(筆者提供)

【寄稿】日本のエネルギー政策、今が建て直し絶好の機会ー安全保障で見直しを

私は経済記者として1990年代後半から日本経済、そしてさまざまな産業を見てきた。中でもエネルギー産業の持つ力の巨大さ、社会全体に影響を与える存在感の大きさが印象に残り、働く人の真面目さに好感を持った。特にその中の電力産業に関心を持った。

また、東日本大震災とそれによる東京電力の福島第一原発事故、さらにその際の大規模停電と被災地のその後も取材した。1985年に大事故を起こしたウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所にも行った。エネルギー産業の活動には、大変な危険が伴うことも認識した。こうした思い入れを持ちながら、エネルギー問題の報道をしてきた。

ところがそうしたエネルギー産業、特に電力業界で、政策の迷走が10年以上続いている。福島原発事故の後に、「原子力は悪」というイデオロギーや、原子力への反感という感情が、エネルギー問題を語る際に持ち込まれてしまった。それが影響して、さまざまな問題が起きている。その結果、ここ数年は停電危機など電力の安定供給は危うい状況になり、電力会社の収益は不安定になった。そして電力料金は上昇し、私たちの生活は苦しくなり、製造業に悪影響が出ている。今の結果を見ると、直近のエネルギー政策は失敗だったと評価せざるを得ないだろう。

▶ 続きを読む
関連記事
中共当局による突然の公演中止にもかかわらず、浜崎あゆみは無観客の上海会場でフルステージを完遂。毅然とした姿勢が中国内外で称賛を集め、政治的圧力を上回る“完勝”を果たした
三年もの間、民の課役をゆるし倹約を貫いた仁徳帝。民の竈の煙に安らぎを見いだしたその御心は、豊かさの本質を問い直す今の日本にも静かに響いている
浜崎あゆみの上海公演が中共の意向で急遽中止。しかし彼女は観客なしで本番同様のライブを完遂し、世界から称賛を集めた。中共は虚偽説明で一時しのぎのごまかしを図るも、浜崎の冷静な対応が評価を高めた
中国共産党軍は日本を恫喝するも、その実態は装備・組織面で脆弱。日中が衝突すれば、中国側の実力不足が露わとなり、宣伝とは逆に軍の限界が明確にされる状況にある​
中共軍は軍事的示威を強める一方で、実戦能力や装備面での課題が多数露呈。日本の防衛態勢と比較し、その脆弱性が浮き彫りになっている