春の恵みを味わう ふきに秘められたパワー

 

中医学において、ふきはその全体が薬として利用されるとされています。古文書によると、ふきは主に肺を潤し、痰を排出して咳を和らげる効果をもたらします。また、体の熱を冷ます効果や、腫れをやわらげ血行を改善する効能もあるとされています。これらの特性により、ふきは肝臓や心臓、脾臓、肺などの健康を促進するための食材として重宝されています。

なぜふきにはこれほどまで多くの健康効果があるのでしょうか?それは、ふきが腎臓の水分を心臓や肺などの上部の器官に運び、気血の流れをスムーズにし、栄養素や水分、そして体のエネルギーを全身の細胞にスムーズに送り届けることで、内臓を健康に保ち、体力を回復させ、機能を正常化するため、不調を感じる症状が自然と解消されるからです。

「どうしてそんなことが分かるの?」と皆さんは疑問に思うかもしれません。答えは簡単です。ふきの形状や色、香りを観察することによって推測できます。ふきの葉と茎は太く、中心部は空洞で、水道管や血管のようではありませんか?

に地面から芽を出し、急速に成長するこの植物は、春の強い生命力に満ちており、水分を効率よく吸収します。中心部が空洞になっている構造は、水分と栄養をスムーズに運ぶのに適しています。そして、この栄養と水分を運ぶ力、すなわち「気」は、古代の人々が考えた見えないエネルギーです。

古代の人々は、この気の流れるシステムを「経絡」と呼びました。植物や動物、人体にも存在します。気がなければ、電気がない電化製品のように、どんなに部品が高性能でも機能しないのです。

そのため、宇宙に存在するあらゆる生命体は、生命を維持するために経絡と呼ばれるエネルギーシステムを必要とします。気は体内で血液の流れを促進しますが、気の滞りは現代の様々な生活習慣病を引き起こすとされています。

「有気無力」という古い言葉があり、これは体内のエネルギー(気)が不足している状態を指し、気を補充する必要があることを示しています。スマホが充電を必要とするように、気がなければ身体の活動も鈍ります。経絡と血管は、体内の臓器や各部位を結び、栄養素を細胞に送り届けるためにスムーズに機能しなければなりません。

現代医学では、体内の気の流れである経絡を客観的に観察できないため、内臓の修復や機能の回復が難しく、問題が発生した後の症状に対処するために投薬治療が行われています。しかし、内臓の気が常に詰まり、エネルギーの流れが滞ると、病状は悪化し、投薬量も増え、薬をやめることが難しくなるという悪循環に陥ります。問題の根本はここにあります。

ふきの葉と茎は太く、中心部は空洞で、水道管や血管のようです(雲水 / PIXTA)

人体の肝臓に張り巡らされている経絡は、肝の気が流れています。肝の気は木の性質であり、春のエネルギーとも関連しています。春になると、木のエネルギーが活発化し、肝の気も自然と上昇します。しかし、冬に適切な養生を怠ると、風邪を引いたり、夜更かしをしたりして、エネルギーが蓄えられず、腎臓のケアが不足することがあります。

その結果、腎臓の水のエネルギーが上昇し、肝臓の木のエネルギーが弱まります。春になると、肝臓の気は強制的に上昇しますが、腎臓の水のエネルギーがそれに追いつけず、肝臓の血液が乾燥し、熱くなります。この乾燥と熱は、五行と五臓において心臓と対応する火のエネルギーに変化し、肺に炎症を引き起こします。結果として、咳や不眠、喉の痛み、頭痛、目の充血や乾燥などの症状が現れます。これは腎臓の水のエネルギーが上昇しない一方、肝臓の木のエネルギーが過剰になり、乾燥し火のエネルギーに変化することで、心臓や肺、頭部に影響が出るためです。

春になると、人は肝の火が強くなりすぎて、怒りやすくなることがありますが、これは基本的に腎の水が不足しているためです。しかし、愛知県のふきは、その太く頑丈な性質と成長のスピードが早いため、水分を効果的に上に運ぶことができる力強さがあります。これは肝の気を運び、腎の水分を心臓と肺に導くのに適しています。また、肺を潤し、熱を清めて解毒し、腫れや炎症を抑え、気血の流れを良くし、内臓の機能を回復させる効果が期待されます。結果として、皮膚の乾燥やかゆみも解消されるでしょう。

ふきは淡い緑色で、五行では木のエネルギーに相当し、肝の気との相性が良いことを意味します。これは肝の機能を調整し、独特の香りと辛さはエネルギー源となります。辛い味は伝統的な中医学では気血の流れを良くする効果があるとされています。香りは経脈の気の流れをスムーズにし、胃の気を下げて食欲を改善してくれるでしょう。

これらがふきを使った食事療法の最大の秘訣です。

 

ふきを食べる際の注意事項

ふきは体を冷やす性質があるため、脾や胃が弱い人はお腹が痛くなったり下痢を起こしやすくなるでしょう。そんな場合は、しょうがやねぎ、または花椒などの体を温める食材を料理に加えたり、一緒に食べることで、ふきの冷たい性質を和らげ、脾や胃を守ることができます。

さらに、消化を助け、脾や胃の機能を強化し、体の気や血を補うためには、鶏肉を使った料理がおすすめです。鶏肉は体を温める性質があり、冷えを取り除きながら脾や胃の機能を高めてくれます。ただし、慢性的な病気がある方や薬を服用中の方は、自分の体調や医師のアドバイスに従って適量の食事をとるよう心がけましょう。

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。