ベルギー・ブリュッセルに位置するEUの建物 (Photo by EMMANUEL DUNAND/AFP via Getty Images)

EUが中国製医療機器の公共調達プロセスに対する調査を開始

欧州委員会は、4月24日に中国医療機器の公共調達プロセスに関する調査を開始した。この動きは、中国共産党の習近平党首が予定している欧州訪問を前にして、欧中間の緊張が増す中での重要な展開だとしている。

ロイターによれば、この調査は、欧州の医療機器メーカーが中国市場で公平に競争できるかどうかの確認を目的としている。対象とされるのは、注射針や矯正器具から高性能スキャナーに至るまで、様々な医療機器の輸出品である。

もし調査結果が欧州企業に不利な状況を示した場合、EUは中国製医療機器のメーカーに対して、EU市場で入札の参加に制限を加えるような措置を講じる可能性がある。これには、入札評価時の減点措置や、入札自体からの排除を含むと予想している。

この調査は、「国際調達手段(IPI) 規制」を用いて行われる初めての事例となる。このツールは、国際公共調達市場における相互アクセスの促進を目的としている。

EUの公式声明によれば、中国共産党政府は国内の医療機器メーカーに対して、国内製品の購入を奨励する政策や輸入品に対する規制を行っており、外国企業が参加しにくい状況を作り出していると指摘。

調査は予定通り9か月で完了する見込みだが、必要に応じては最大5か月の延長を可能としている。EU委員会は、この問題に対する改善策を模索するため、中国との意見交換や協議を求めている。

中国はEUのこの新たな措置に対して不満を表明しており、外務省の汪文斌報道官は、EUが中国企業に不当な圧力を加えていると批判している。

一方、フィリップス、シーメンス、その他の医療機器サプライヤーが会員となっている中国の欧州連合商工会議所「中国EU商会(中國歐盟商會)」は、この新しい調査を支持しており、「中国での公平な政府調達の機会が欠如していることは、中国で事業を展開する欧州企業にとって大きな課題である」と述べている。

EUと中国の緊張関係が高まる中での新しい動き

EUと中国の関係は、市場アクセスの不公平性や欧州市場への低価格商品のダンピング、またロシア・ウクライナ紛争におけるロシア支持など、複数の問題でさらに悪化している。

このような状況の中で、EUは直前に中国のセキュリティ機器製造会社のオランダおよびポーランドのオフィスを急襲し、調査を実施した。

また、昨年10月には中国製EVに投入される補助金に対する調査を開始した。EV市場に中国製EVが急速に浸透し、EU産業に追加の損害をもたらしているとの見解を示している。

他にも、風力タービンや太陽光パネルに対して同様な調査がなされており、アメリカ同様、中国共産党に対して強硬な態度を取っている。

アメリカの財務長官イエレン氏は、アメリカの新興産業も中国の過剰な生産能力による低価格の販売で損害を受けている。中国共産党に価格ダンピングを許さないと警告した。

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