2022年12月21日、上海黄浦区の外灘において、一人の女性が道路を横断している様子が見られる(Hector Retamal/AFP via Getty Images)

中国百貨店業界を襲う経営難 3か月で有名百貨店10店舗が閉店

新型コロナの世界的流行がもたらした影響は、中国の百貨店業界に深刻な打撃を与えている。特に老舗のデパートは経営難に直面し、過去3か月間にわたり、10店舗が営業を停止し、閉店に追い込まれた。

本稿では、新型コロナが中国の百貨店業界に与えた影響と、閉店を余儀なくされたデパートの事例について解説する。

新型コロナウイルスの影響が3年間続いた後も、中国の百貨店業界は依然として赤字に悩まされており、長い歴史を持つ老舗百貨店も次々と閉店している。今年に入ってからは、特に老舗百貨店の閉店が目立っている。

最近の報告によると、上海梅龍鎮にある伊勢丹百貨店が賃貸契約の終了に伴い、2024年6月30日に営業を終了すると発表した。

中国の経済メディア「第一財経」が4月5日に報じたところによると、梅龍鎮の伊勢丹百貨店では多くの売り場で割引セールが実施されており、割引率は10~80%に及んでいるが、来店する客は少ないという状況だ。

梅龍鎮の伊勢丹に限らず、多くのデパートが市場から手を引き始めている。例を挙げると、瀋陽の伊勢丹は撤退を決め、上海の太平洋百貨と六百は閉店。3月31日には咸寧の銀泰百貨と広州の番禺友誼商城も店を閉じた。さらに、天津の伊勢丹南京路店と濱海新区の伊勢丹は、4月14日と27日にそれぞれ閉店予定だ。

最近では、デパートが閉店したり、営業を停止したりするのは珍しいことではない。2022年だけでも、40店舗以上のデパートが閉店を発表し、その中には10年以上続いた店舗も27店舗あった。

聯商網小売研究センターのデータによると、2023年には全国で21のデパートが閉店した。その中には、太平洋百貨、永旺(イオン系列)、百盛(パークソン)、解百、大洋百貨、新世界百貨などが含まれている。

特に注目すべきは、聯商網の統計によると、2024年に入ってから現在までに、10店舗の有名百貨店が閉店を決定したことだ。そのうち5店舗は完全に閉鎖され市場から撤退し、残り5店舗はリニューアルされるか、建て替えのために解体される見込みだ。

百貨店が閉店する主な理由を調べると、賃貸契約が終了することが一般的だが、その裏には実際に経営上の大きな圧力が根本的な原因として存在している。

中国百貨商業協会と馮氏集団の経済シンクタンク、利豐研究センターが共同で行った「2023-2024年の中国百貨小売業の発展に関する報告」によると、百貨小売業界の企業の86.3%が、最大の課題は消費者の購買力の低下だと報告している。

関連記事
中国では資本逃避が続き、2024年には2540億ドルに達した。政府の厳しい規制や経済的問題、さらに台湾問題が資本流出を加速させている。政府の短期的な刺激策も信頼回復には不十分で、今後も資本流出と投資低迷が予想される
中国金融界で華興銀行の元書記長・張長弓が逮捕、賄賂や公金横領で告発されるなど幹部の失脚が続いている。張氏は複数の金融界の大物を告発し、関係者の多くも失脚。経済低迷と財政難が背景にあり、腐敗摘発が進む一方で、内部闘争も激化していると専門家は指摘する
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
ファーウェイが世界初の「三つ折りスマホ」 が先月下旬に発売し注目浴びるも、開始直後からトラブルが相次いでいる。サムスンのパクリ疑惑や購入後1か月で液漏れなど…
中国経済の低迷が続き、エルメスやコカ・コーラ等の大手企業が事業を縮小。政府の景気刺激策にも関わらず、経済回復の兆しは見えず。特に高級ブランド業界は影響大。米中貿易摩擦の激化も外資の戦略見直しを促している。中共には高級ブランドそのものが似合わないし、そもそも成金の悪趣味だったのかもしれない?