投資会社ブラックロックの投資を管理するマネージャーたちは、役員会に電話をかけて圧力をかけ、企業が炭素排出を削減するなど、左派の目標である「ネットゼロ」(大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状態)に向けた取り組みを行うように促すことができるとヒルド氏は指摘した。写真はブラックロックのCEOラリー・フィンク氏 (Photo by Michael M. Santiago/Getty Images)

資産運用世界トップのブラックロック社、日本株へ強気な姿勢

資産運用で世界トップのブラックロック社が25日、日本株のオーバーウエートを高めたと明らかにした。ロイター通信が伝えた。

ブルームバーグによると、投資分析を提供しているブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のストラテジストは、為替の円安進行が日本企業の海外事業収益を高めているほか、インフレ率の上昇が企業の値上げと利ざやの確保を可能にし、賃金の伸びが個人消費を刺激していることから、市場の見通しは依然明るいと考えている。

岸田政権は「新しい資本主義」を掲げ、2115兆円と言われる日本の家計金融資産の半分以上を占める現金や預金が投資に向かい、企業価値の向上が家計に還元されることで、さらなる投資や消費につながる、成長と分配の好循環を実現することを目指している。

日本経済新聞によると、岸田文雄首相は21日、首相官邸でブラックロックCEOのラリー・フィンク氏と面会した際、フィンク氏は首相に海外からの日本への投資意欲が高まっていると伝えたうえで「脱炭素分野に関心がある」と述べた。

ブラックロック社は、2月、米国最大の銀行JPモルガン・チェース、世界第3位の資産運用会社であるステート・ストリートとともに、企業に地球温暖化対策を求める国際的な投資家グループ「クライメート・アクション100プラス(CA100+)」からの撤退を発表した。

世界的な地球温暖化対策の提唱者たちは、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとり、正味の排出量をゼロにする「ネット・ゼロの目標」に世界で最も強力な金融機関を連携させるための重要な存在として、CA100+を称賛していた。

 しかしCA100+は、石油生産や航空会社など大量のCO2を排出する業界の170社を「重点企業」として標的とし、ネット・ゼロ目標へのコミットメントを拒否する企業に対しては、株主投票での反対を脅迫するよう会員企業に強制し、更に会員に対して、気候変動目標を実際に積極的に推進していることを証明するため、株主投票記録を公表するよう要求するなど強引な手法を取り、大いに物議を醸した。

米国の消費者運動団体「コンシューマーズ・リサーチ」のエグゼクティブ・ディレクターであるウィル・ヒルド氏は「そうした企業や団体が、米国の消費者と経済に対する武器として金融ポートフォリオを使うことに同意することで、ウォール街とダボス・エリート以外のすべての人の怒りを買った」と述べている。

ヒルド氏は「彼らがCA100+という気候カルテルを脱退したのは、何百万人もの消費者と何十人もの議員の行動が効果を上げているという証左であることを示している」と述べている。

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