現代人は米を無価値な炭水化物と軽蔑していますが、実際に、お米は生命なのですよ。一粒のお米は1つのミクロな宇宙として存在します。現代科学の手段では、それを見ることはできませんが、お米の中には、五行のエネルギーが運行するメカニズムが隠されています。精製されていないお米は日本語で「玄米」といいます。それは偶然ではなく、きっと中には「玄妙(道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれていること)」があります。
五行:中国古代の世界観で、万物を構成し、天地の間に運行すると考えられた木・火・土・金・水の五つの元素のことです。
「米」は元々四方八方を象徴するシンボルです。「米」という名前は、お米に宇宙の意味合いを持たせて、その人体に全面的な助けを提供する力を示しています。「適切に使用される」と、米の驚くべき力が現れるのです。
補気健胃 退热止瀉(下痢止め) 五臓を補う
明の時代の医師・李時珍が執筆した薬学百科全書『本草綱目』に、このように記されています。
「梗米(うるち米)は気を補い、煩悶を去り、渇きを止め、下痢止めの働きがあります。また、体の内部を温めて、胃の気を和らげ、筋肉を強化します。骨を強化し、腸胃をサポートし、 血脈を通じさせ、五臓を調和させ、顔色を良くします」また、お米は「あらゆる虚損( 気力や体力がだんだんと弱くなっていくこと)を補い、中(体の内側)を補い気を増やし、筋肉と骨を強化し、口の渇きを止め、視力を高め、知性を高める」と明記されています。
「気」は、人の体を支えるすべての原動力のようなものなので、「気」が不足している方は電池が切れた携帯電話のようなものです。
五臓は「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の5つの総称です。
李時珍はまず米の気を補う効果について説明しました。米は人体の経絡の気(エネルギー)を供給することができ、粥に炊き上げると迅速に胃の気を補充することができます。
胃の気は肺を通して五臓六腑の経絡全体にエネルギーを届けます。これは、人体の経絡であり、五行で成り立った気機(メカニズム)に電力を注入するのと同じことです。そうすると、各臓器の機能は正常に機能し始め、回復します。これは、張仲景など中国古代の名医が特に風邪や発熱を治療する際、患者に米のおかゆを飲ませる理由です。
おかゆは気を補い、水分をも補給します。これにより、体の経絡が薬力を全身に運ぶ速度を速めます。それで、汗をかいて、体の中の邪気を追い出します。熱が下がれば、自然に心は煩わされず、肺の乾燥、口の渇きが消えてゆきます。
米は胃の気を補い、体の中央部分の脾と胃を温めます。脾と胃の機能が正常になれば、下痢も止まります。脾は筋肉を主催するから、しっかりとした筋肉が自然に育ちます。
中医学において、肝臓は筋肉を、腎臓は骨を主宰します。筋骨を強化するとは、肝臓や腎臓を補うことによって、肝臓と腎臓の気や血が調和していると、筋骨は自然と健康で強くなります。肝臓は目をも主宰するから、目は明るくなります。腎臓が脳髄、特に脳の健康の主宰に繋がります。米は血液の循環を助け、気血を補給し、 血脈を通じさせ、五臓を調和させることで、最終的に体を回復させ、肌の色をよくします。まさに「良い顔色」になりますね。女性にとって、毎日のおかゆは、最も良い健康と美容のアイテムと言えるでしょう。
李時珍の言葉は、胃と腸、肝と腎臓、心臓と肺、大脳などのすべての内臓や器官、もちろん気、血、筋、骨を含め、どこかが弱っているか、傷ついている場合でも、米によってそれを修復することができると私たちに伝えています。
近代の著名な医師、張錫純(ちょうしゃくじゅん)も粳米(うるちまい)は「胃の気の発達を助ける」と考えていました。彼は風邪や感冒の治療に、補助として粳米を加えることがよくありました。「胃」とは、「衛」です。胃腸は人体最大の免疫システムです。胃の気がしっかりしていれば、免疫力は自ずと大幅に向上します。
『随息居飲食譜』に、米湯(炊飯のときに表面に浮かぶ濃い汁)の「補養効果は、人参スープに代わるもので、虚証(漢方で、体力・気力が衰え、顔色も悪く、疲れやすく、脈も弱々しい状態)を治療することができる」と書かれています。
『黄帝内経』には「五穀は養うものである」と記述されています。これは一見単純な一文に見えますが、天機(造化の秘密)を伝えています。人々は様々な貴重な栄養補助食品や薬材を探し求めますが、日常の中、身近な存在である穀物こそが体を養う栄養源であり、貴重な宝であることに気づいていないのです。
五穀の筆頭である米は、昔から飢饉の際に人命を救う第一の選択肢として評価されています。政府が食糧庫を開放した時、ご飯ではなく、粥を布施しました。多くの人は、飢えている人が多く、食べ物が貴重だから、お粥しか与えられないと考えていますが、実際は、過度な飢餓状態での過食による危険を懸念するだけでなく、お粥が迅速に気血を補給し、五臓を強化し、免疫力を高めることができるからです。また、心を安定させ、肺に潤いを与え、体に不足した水分を増やし、下痢を止め、のどの渇きを止め、体力を回復させる助けとなります。虚すれど補を受けず、気の虧損(ダメージ)が重度で脾胃も虚していると(弱っていると)、正確に弱いところを補おうとしても、薬が吸収できない患者でさえ、お粥を食べると、気が補われます。その功徳は非常に大きいのです。
精米は栄養が抜けた 玄米は吸収されにくい
精米技術の進歩により、私たちが現在食べている白米は、そのほとんどが籾(もみ殻)、胚乳、胚芽に含まれる栄養成分を失っています。特に、米が白くなるほど、栄養成分が多く損なわれてしまいます。
米を精白した際に出るのが「糠(ぬか)」です。糠は米の中で人々の健康に最も寄与する部分です。糠を残した玄米は健康に良いです。これは玄米には、完全な宇宙のメカニズムを含んでいるからです。
現代人は精米を食べ、糠の栄養価を失ったため、脾と胃が弱くなり、病気が増えています。さらに、現在、人々は時間とお金を費やして、健康補助食品を探さなければなりません。これは本当に労力と費用がかかり、損失が大きいことです。
玄米茶と玄米粥
日本の玄米茶は、玄米が健胃と下痢止め効果があるという認識に基づいているでしょう。緑茶は冷たい性質で、脾胃の働きが弱い人にとっては下痢を引き起こしやすいです。玄米を炒って「火の気(エネルギー)」を加えることで、玄米の健胃効果を高めています。火の気は土の気を生むとされます。脾胃は五行において土に属するため、玄米茶の健胃・下痢止め効果が高められています。炒めた玄米に緑茶を混ぜることで、玄米茶が誕生しました。玄米茶には伝統的な中医学の理論が含まれています。これは非常に賢明な飲み方です。
もちろん、炒めた玄米にお湯を入れて、気を補い下痢を止めるのにも良い食養生法です。
というわけで、健康のためには、精米を毎日食べるのとは別に、朝は無農薬栽培の5分精米(5分づき)で作った粥を食べていただき、失われた栄養素を補給することをお薦めします。
胃腸が弱く、づき米を消化するのが難しい場合は、無農薬の糠の可食部を布袋に入れて口を密閉し、精米と一緒に茹でると、糠の栄養素を摂取できます。 出来上がったら布袋を取り出し、お粥だけを飲めば良いのです。時間が経つにつれて、体の虚損(気血不足、五臓の機能低下などによる様々な病気)が修復されていきます。健康を得ることは、本来簡単で実行しやすいものであるべきです。
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