【張錫純の診療記録の解釈】(3)便秘の根本治療法
中医学には「異病同治」という言葉があり、具体的な症状は異なっていても、根本的な原因が同じであるため、異なる疾病を同じ処方で治療することがあるのです。 これは今日これからお話しする便秘の根本治療のケースであり、前にお話しした不眠症のケースと同じです。 今回、張錫純が残した治療ケースは、特定の症状を解消するためだけに薬を使用すると、食道逆流症、摂食障害、嘔吐、鼻血、喘息や咳、めまいなど、様々な複雑で治療が難しい病気を引き起こす可能性があることを指摘して、そのことを現代の医師に思い出させるのです。大事なことですね。
患者の郭さんは、年齢は30歳未満で、張錫純は滄州から天津に引っ越したばかりの時、治療を求めに来た。 郭さんは「心が落ち込むことが多く、食べ物が胃の中に停滞し、時々嘔吐する。最もつらいのは便秘で、下剤を服用しないと解消できない。この症状は1年以上続いている」と語ったのです。何度も苦しみましたが、どの薬も効果がなく、症状が大きく悪化することもなく、日常生活はなんとか送ることができましたが、食事量の減少と食欲の低下により、体はかなり弱ってしまったのです。 この患者は、このままでは便秘などが解消されず、徐々に体がボロボロになってしまうのではないかと不安になっていました。
張錫純は脈を診ました。脈診は伝統的な中国医学の重要な診断方法であり、内臓と経絡の働きを理解することを目的としています。 これは、TCM 治療が経絡の 5 要素のエネルギー メカニズムに基づいて問題を発見し、病因を見つけて内臓を矯正するためです。 張さんの脈診の結果、「6つの経絡すべてが郁象している」ことが判明したのです。 郁象とは、経絡が詰まる事です。では、なぜ経絡が6本あるのでしょうか? 「肝、心、脾、肺、腎」は「木、火、土、金、水」の五つの要素に対応するので、それが五行に対応する経絡ではないでしょうか? 実は、体幹は確かに5つの部分から構成されていますが、そのうちの1つは各臓器を調整する経絡であり、6つの部分から構成されています。