(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(53) 道義が私を突き動かした③

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この一連の裁判はどれも勝訴した。勝訴したからこそ、私には彼らについて批評することができる。

これらの裁判で我々が目にしたものとは何か。何よりも道義と良知に対する民衆の支持である。私も様々な場を利用して語っているが、これはおそらく中国にわずかばかり残された希望の光だろう。法律については、少なくとも自らその役目を果たしてはいない。最終的には被害児童に有利な判決が下された。

しかし、ほとんどの場合、それは子供の権益を守るためではなく、上から下まで社会全体が道義を支持したその力のほどを(司法が)恐れたからであった。メディアが追跡報道を続ける中、その圧力を受けてやむを得ず出した判決なのである。たとえ法律があの一時(いっとき)しか働かなかったにしても、偶然の力の介入と偶然の要因の刺激があって、最終的に法律に一定の役目を果たさせたのだった。

この数年、もし私が充実感をいくらかでも感じられたとすれば、それは私が応援した子供たちが多少の賠償を勝ち得たからである。私と正反対の価値観を持つ同業者は、私のことを「全国各地で貧乏人のため裁判にのめり込む、いかれた犬」と揶揄する。私は、この言葉は検討に値すると思う。

1人の弁護士として、無料で弁護を引き受けるのは決して私の本意ではなく、他の選択肢がまったくないために現実を受け入れているのに過ぎない。これは自ら進んで選んだ結果ではなく、現実を受け入れた結果である。彼ら被害者、あるいはその両親が子供を背負ってはるばる私を訪ねてきたら、そして彼らの苦しみを耳にしたら、誰だって彼らと共に涙を流すはずである。ほかにどんな選択肢があるというのか。たとえ彼らを守るだけの力がなくても、彼らが権利を守る過程に関与することくらいはできるはずだ。ただそれだけに過ぎない。

もちろん、これらの案件の結果、私には大きな悩みが生まれた。特に数年前には、中国全土から、この種の案件で私への依頼が絶えなかった。言うまでもないが、私がどれほど「いかれた」者だとしても、その全てを引き受けるわけには行かないのである。

 (続く)

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