11月15日、 政府は経済界や労働団体の代表者と意見交換する「政労使会議」を開いた。写真は岸田首相。都内で2日代表撮影(2023年 ロイター)

来年春闘へ政労使が意見交換、「今年上回る賃上げを」と岸田首相

[東京 15日 ロイター] – 政府は15日夕、経済界や労働団体の代表者と意見交換する「政労使会議」を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は会議終了前のあいさつで、足元の物価動向を踏まえ、経済界に対して来年の春闘での「今年を上回る水準の賃上げ」に協力を求めた。

政労使会議は今年3月以来。前回の開催は2023年春闘の大詰めとなる集中回答日だったが、今回は24年春闘のスタートに先立って行った。

政府からは首相のほか、松野博一官房長官、武見敬三厚労相、古谷一之・公正取引委員長らが出席。経済界から経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の小林健会頭ら、労働界から連合の芳野友子会長、清水秀行事務局長がそれぞれ参加した。

岸田首相は6日の経済財政諮問会議で、日本経済がデフレ脱却の千載一遇のチャンスを迎えているが、現時点で賃金上昇が物価高に追いついておらず、この状態を放置すれば再びデフレに戻りかねないと指摘。経済界に対して自らが先頭に立って賃上げを働きかけていく、と述べていた。

連合は来年の春闘の基本構想で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせて5%以上の賃上げを要求する方針を示している。

経団連の十倉会長は会議終了後、記者団の取材に応じ「首相から今年以上の賃上げと言われた。われわれも目指す以上は今年以上、今現在はそれを目指そうということで熱を傾けている」と述べた。

その上で、民間は賃上げを一生懸命やるが、政府も経済対策で給付金や減税で所得全体を増やして物価高を乗り切ろうとしている、と指摘。「ベクトルを一つにしていかなければならないという意味で今の時点で呼びかけがあったと思う。(開催は)適切なタイミングだった」と述べた。

関連記事
日本銀行が発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)によると、2024年度には消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比が2%台半ばに達し、2025年度および2026年度には概ね2%程度で推移する見通しである。
国税庁が30日発表した2023度の法人税に関する申告状況によると、法人税の申告件数は318万件で、申告所得金額の総額は98兆2781億円に達し、過去最高を記録した。
内閣府が30日に発表した今年10月の消費動向調査によると、二人以上の世帯を対象とした消費者態度指数(季節調整値)は、前月比で0.7ポイント低下し36.2となった。これにより、消費者マインドは改善に足踏みが見られる状況となっている。
9月分の貿易統計(速報)によると、輸出が前年同月比で1.7%減少した。自動車や鉱物性燃料の輸出が落ち込んだことが主な要因。
総務省が29日に発表した9月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月から0.1ポイント低下し、2か月連続減少した。同日に公表された一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は1.24倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。