中豪首脳が会談、関係安定化は「相互利益」 緊張緩和を示唆
[北京/シドニー 6日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は6日、訪中しているオーストラリアのアルバニージー首相と北京で会談し、中国とオーストラリアの安定した関係は相互の利益になり、両国は協力を拡大する必要があると述べ、このところの緊張状態から脱却する用意があることを明確に示した。
アルバニージー首相は会談の冒頭、両国の強固な関係は「将来にわたり有益」と表明。習主席は、中国とオーストラリアは相互理解と信頼を築きながら戦略的パートナーシップの発展を促進しなければならないと述べた。
アルバニージー首相は会談後に記者団に対し、円滑な貿易が両国にとって利益となり、中国の消費者にとってもオーストラリアの輸出業者にとっても有益だと伝えたと述べた。
その上で「オーストラリアと中国は相違点によって定義されるべきではなく、相違点を認識しながら相互利益も認識すべきとの見解で一致した」とし、今回の会談は「極めて前向きなものだった」と言及。習主席をオーストラリア訪問に招待したと明らかにした。
オーストラリアと米英の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」は明確な議題として取り上げられなかったとしながらも、地域の安定について協議したとし、「米中のガードレールと軍事協力について話した。これは重要なことだ」と語った。
豪首相官邸の発表によると、首相は「オーストラリアは、この地域の国々とともに中国経済の安定した成長の継続と、進行中の世界との関与に関心を持っている」と指摘。意見の相違が生じた場合は「コミュニケーションをとることが重要だ」と述べた。
オーストラリアの首相が北京を訪問するのは2016年以来初めて。今回の会談は会談は北京の人民大会堂で行われ、両首脳は1時間以上にわたり会談した。
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