7月10日、 欧州連合(EU)欧州委員会は、米国との間で個人データ移転に関する新たな取り決めを結んだと発表した。写真はブリュッセルのEC前で2020年6月撮影(2023年 ロイター/Yves Herman)

EUと米が個人データ移転で新協定に合意、法的不透明感解消へ

[ブリュッセル 10日 ロイター] – 欧州連合(EU)欧州委員会は10日、米国との間で個人データ移転に関する新たな取り決めを結んだと発表した。データ移転にかかわる多数の企業にとって、法的な不透明感が解消されることになる。

EUと米国が以前に個人データ移転を巡って交わした協定は、欧州司法裁判所がこれらを無効とする決定を下し、その後なかなか合意に達することができなかった。

しかし欧州委は、米国が講じた幾つかの手段により、欧州市民の個人データを商業利用する場合にも十分な保護が付与されたと説明。米情報機関のEU側データ利用が「必要かつ相応」な分に限定され、「データ保護審査裁判所」が設置されるなど、拘束力のある新たな安全措置のおかげで、欧州司法裁判所が提起した懸念は払拭されるとの見解を示した。

バイデン米大統領は、今回の取り決めを歓迎するとともに、強力な個人データ保護に向けた米欧共同の明確な意思表示がなされたと主張した。

欧州委のレインデルス委員(司法)は、これでデータ移転について法的な異議申し立てがなされても退けることができると説明。「このデータ保護の枠組みが持つ諸原則は強固で、欧州司法裁判所の要求基準を満たしている」と述べた。

エアバスやアマゾン・ドット・コム、アップル、エリクソンなど多くの企業が加盟する団体「デジタルヨーロッパ」も、新たな取り決めを評価。事務局長のセシリア・ボーンフェルド・ダール氏は「データフローは年間1兆ユーロに上るEUの対米サービス輸出を支えている。今回の決定で企業は事業遂行に自信を深め、欧州経済の成長に寄与するだろう」と語った。

ただ個人情報保護を推進する団体からは、この取り決めでは不十分で、米国の当局による個人情報監視を認めている法令の改正が必要だと訴える声が出ている。

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