トランプ前大統領は、機密文書の自宅などへの持ち出しに関連する計37件で起訴された後、世論調査で上昇し、資金調達も「絶好調」だと語った。写真は2023年6月10日、ジョージア州コロンバスのコロンバス・コンベンション&トレード・センターで開催されたジョージア州GOP大会で、ドナルド・トランプ元米大統領 (Photo by Anna Moneymaker/Getty Images)

トランプ氏起訴されるも支持率上昇 資金調達も「絶好調」

トランプ前大統領は、機密文書の自宅などへの持ち出しに関連する計37件で起訴された後、世論調査で上昇し、資金調達も「絶好調」だと語った。

トランプ氏は6月8日、起訴されたことを弁護士から知らされたと述べた。トランプ氏は、史上初めて連邦レベルでの刑事処分を受ける元米大統領となっている。

今回の発表は、昨年FBIによるトランプ氏のマー・ア・ラゴ邸の家宅捜索に続いて行われた。この家宅捜索では、前大統領の所持物からいくつかの機密文書が発見されたとされている。

6月10日にアトランタで行われた集会で、トランプ氏はこの告発について、バイデン政権の司法省(DOJ)が自分を標的にするためにでっち上げたと主張。

トランプ氏は「政権の武器である不正の部門による、私に対するばかげた根拠のない起訴は、我が国の歴史上、最も恐ろしい権力乱用の一つとして名を残すだろう」と語った。

「多くの人々、民主党の人でさえも言っている。この残忍な迫害は正義への冒涜だ。人々は、バイデン氏が自分を大幅に引き離している政敵を刑務所に入れようとしているところを見ているのだ。スターリン主義のロシアや共産中国と同じで、何も変わらない」

「この冗談みたいな起訴は恐ろしいことだ。この国にとって恐ろしいことだ。つまり、その唯一の良い点は、それが私たちの世論調査の数字を大幅に押し上げているということ。信じられるか?」

「誰かが資金調達は天井知らずだと言った。それはそれほど重要ではない。しかし、それは本当に私たち(の支持率)を押し上げた。私たちは本当に大きく勝っている。私たちは全ての人々に勝っている。私たちは共和党を圧倒しているし、ジョー・バイデン氏を圧倒している」

「だからこそ、彼らは政治的魔女狩りをやっているんだ。もし、私がいなければ、魔女狩りも起訴もないだろう」とトランプ氏は述べた。

 

世論調査 トランプ支持の声が多数

その後、トランプ氏は、自分が大差でリードしていることを示す具体的な世論調査について語った。

「我々は34ポイントリードしており、私(の支持率)は56、デサンティス氏(フロリダ州知事)が22、ペンス氏が7、ヘイリー氏が3。『Clarity Campaign Poll』では、私たちは56ポイントリードしている。 私は69、デサンティス氏は13、ペン氏は6だ」

続けて、アイオワ州のエマーソン世論調査 、最初の予備選挙である重要な州アイオワ州の結果を引用した。

「アイオワ州のエマーソン世論調査では、42ポイントリードしている。私の支持率は62%だ。我が国で最も不正な手段で大統領についた、バイデン氏を大きくリードしている」

「アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルべニア、ウィスコンシンのFabrizio swing state世論調査では、私たちはほぼ50%で、バイデン氏を5ポイントリードしている。ABCワシントンポストの世論調査でも、私はバイデン氏を7ポイント上回っている。そして、デモクラシー研究所の新しい世論調査では、私だけがバイデン氏に勝つ候補者だと示している」

トランプ氏は「デサンティス氏はバイデン氏に大差で負ける 」と付け加えた。

 

不公平な扱い

トランプ氏は、自身の機密文書に対する扱いと、バイデン大統領や元国務長官のヒラリー・クリントン氏に対する扱いとの間の偽善を指摘した。

トランプ氏と同様、バイデン大統領はホワイトハウスから持ち出した機密文書を誤って扱ったという疑惑に直面している。

「バイデン氏は1850箱の(機密文書を)持っている。彼はD.C.のチャイナタウンに箱を持っている。彼はあちこちに箱を持っている。彼は一体どうすればいいのかわからず、箱の上で戦っているんだ」

トランプ氏はその上、2016年の大統領選のライバルであるヒラリー氏が、議会の召喚に対応することを避けるために、機密情報が含まれるラップトップを破壊したと告発されたことを指摘した。

「我々の法執行機関は、これまでにないレベルで武器化されている 」とトランプ氏は強調した。

トランプ氏に対する機密文書の取り扱いに関連する37件の告発が発表されたことを受け、共和党のライバル候補は、主な敵を擁護する立場に立たされた。

起業家のヴィヴェック・ラマスワミ氏は、これは「司法の二重基準」を示していると述べ、トランプ氏の政府文書の保有に対する基準と、バイデン氏に対する基準が異なると指摘した。

ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州)も、「前大統領に対する司法省の武器化 」だと非難した。多くの人は、スコット議員の戦略は、最終的な指名者の副大統領候補としての地位を受け入れる前に、故郷であるサウスカロライナ州で主要な支持層を勝ち取ることだと考えている。サウスカロライナ州ではシーズンの3番目の予備選挙が行われる。

トランプ氏と何度も公に対立してきた元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏は、トランプ氏への起訴を「検察の行き過ぎ、二重基準、そして報復政治の例」と呼んだ。

トランプ氏は指名候補の中で断トツ一番人気だ。彼の主なライバルであるロン・デサンティス氏は、当選した場合、起訴をめぐって司法省を追及することを約束した。

「連邦法執行機関の武器化は、自由社会にとって致命的な脅威である」とデサンティス氏は指摘した。「われわれは長年、所属政党によって法の適用が一律ではないことを見てきた」と述べた。

関連記事
2023年4月にロバート・F・ケネディ(Robert F. Kennedy Jr.)氏が2024年大統領選への出馬を表明して以来、彼は様々な批判に晒されている。陰謀論者、反ワクチン派、危険人物、攪乱者などのレッテルが貼られている。
5月31日、アメリカのオースティン国防長官と中国共産党の董軍防衛長官はシンガポールで開催された「シャングリラ・ […]
Z世代(1990年代後半から2010年生まれの10代から20代前半の若者のことを指す)はミレニアル世代(誕生年が1981年以降で2000年代で成人または、社会人となる世代)と比べて、収入は減少し、負債は増えている。この状況を好転させることはできるのか? より上のミレニアル世代、X世代、さらにはベビーブーマーの世代と比較したとき、Z世代は人々の記憶の限り、はじめて生活水準の低下という危険にさらされている。これは異例の事態で、悲しむべき可能性だ。良い知らせは、彼らが「ゼロ世代」となる場合はそれを防げること、悪い知らせは、仮に状況が変わらなければ、Z世代はこれから前の世代よりも低い生活水準に苦しみ続けるということだ。
「投票はアメリカ市民の神聖な権利と責任であり、特に選挙プロセスの信頼が非常に重要な時期において、選挙に参加できるのはアメリカ市民だけであることを確保しなければならない。」2024年5月21日、保守派の活動団体「アメリカ・ファースト・リーガル」(America First Legal、以下AFL)はペンシルベニア州務省に対し、非市民が州および連邦選挙で投票できる法律を停止するよう訴えた。
2024年のアメリカ大統領選挙は、かつてないほど中絶問題に注目が集まっている。中絶の合法性、倫理、宗教、そして社会的な影響が交錯する中、有権者の関心はピークに達している。最高裁判所の「ロー対ウェイド」判決の覆しによって、各州での中絶規制が大きく変わり、国中で激しい議論が繰り広げられている。この問題は単なる政策論争に留まらず、個々人の人生や価値観に深く関わるものとして、多くのアメリカ人にとって決して無視できないテーマとなっている。候補者たちは、こうした有権者の熱い視線を浴びながら、自らの立場を鮮明にし、選挙戦を展開している。果たして、2024年の大統領選挙はどのような結果を迎えるのか?中絶問題は、その答えを握る鍵となる。