30年の国内売上高15兆円超に、経産省が半導体戦略の改定案
[東京 3日 ロイター] – 経済産業省は3日、「半導体・デジタル産業戦略」の改定案を公表し、2030年に関連の国内売上高を現行比3倍の15兆円超に引き上げる目標を示した。達成するには官民で10兆円程度の追加投資が必要とみており、初期投資だけでなく運用コストの支援も検討する。
意見を募った後、夏前までに成案としてまとめる。西村康稔経産相はこの日開いた半導体・デジタル産業戦略検討会議で「まずはAI開発の基盤となる圧倒的な計算力のコンピューティング基盤を整備する」とし、「日本の科学技術を向上させ、海外からの高度人材の確保にもつなげる」と述べた。
これまでの戦略には具体的な目標数値を盛り込んでいなかった。人工知能(AI)の急速な進化やあらゆるものがインターネットにつながるIOTの本格的な到来で、大量の情報を高速処理する半導体は需要が増し、関連市場は30年までに2倍に膨らむと予想されている。経産省は、現在10%程度の日本の市場占有率を引き上げることを目指す。
大規模な支援が引き続き不可欠だとし、開発・生産を続ける上で発生するランニングコストを引き下げていくような対策も検討する必要があるとしている。
このほか改定案には、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場建設、キオクシアと米ウエスタンデジタルが共同で進める三重県四日市市の先端メモリー新工場の経済効果も新たに盛り込んだ。経済波及効果は今後10年間で9.2兆円、国内総生産(GDP)への影響額は約4.2兆円、雇用効果は延べ約46.3万人、税収効果は約7600億円と試算している。政府は両工場に約5700億円の補助金を投じた。
経産省は21年6月に半導体・デジタル産業戦略を策定。西村経産相は昨年末の同会議で、成長戦略を23年半ばに改定すると明らかにしていた。