米国と日本は28日、電気自動車(EV)の車載電池向け鉱物に関する貿易協定の締結を発表した。写真は米通商代表部(USTR)のタイ代表、8日撮影(2023年 ロイター/Adriano Machado)

日米、EV電池向け重要鉱物の確保で協定 日本車にも税優遇

[ワシントン/東京 28日 ロイター] – 日米両政府は28日、電気自動車(EV)電池に使う重要鉱物について貿易協定を結ぶ方針を明らかにした。電池のサプライチェーン(供給網)を互いに強化し、特定国への依存度を下げる。日本の自動車メーカーは、米国の新たなEV税控除の適用を受けられるようになる。

米政権高官によると、協定はEV電池に使う重要鉱物について、両国が相互の輸出を制限することを禁じる内容。リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト(黒鉛)、マンガンが含まれる。日米がこの分野で外国の「非市場的な政策や慣行」に対抗し、自国の重要鉱物サプライチェーンに対する外国からの投資を点検することを定めた。

西村康稔経産相は同日の会見で、「生産に不可欠な重要な鉱物を確保することが喫緊の課題」とし、持続可能で公平なサプライチェーンの確保に向けた協力の強化を通じて、日米や同志国との連携による強靭なサプライチェーン構築を目指すと述べた。

一方、米通商代表部(USTR)のタイ代表は「日本は米国の最重視する貿易相手国の1つで、同協定で両国関係を深化できる」との声明を出した。

日米はこのあとワシントンで協定に署名する。日本はインフレ抑制法上、米国との自由貿易協定(FTA)締結国になる見通し。コバルトを塗布した正極材など、日本で採取・加工した材料が含まれる電池を使ったEVは、米のEV税制優遇措置の要件を満たすことになる。

バイデン政権は昨年成立したインフレ抑制法にEV1台当たり最大7500ドルの税控除を盛り込んだが、鉱物に的を絞った貿易協定を通じて適用対象を広げたいと考えている。

税控除は、EVや電池が北米で最終的に組み立てられ、重要鉱物の40%以上について米国内かFTA締結国で採取・加工されることなどを条件に適用される。

米財務省は週内に調達先の要件を明確化する見込み。USTRは重要鉱物の協定に関し交渉権限を有していることから、議会の承認は求めない考えだという。

両国は2年ごとに重要鉱物の協定を見直す。

関連記事
日本銀行が発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)によると、2024年度には消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比が2%台半ばに達し、2025年度および2026年度には概ね2%程度で推移する見通しである。
国税庁が30日発表した2023度の法人税に関する申告状況によると、法人税の申告件数は318万件で、申告所得金額の総額は98兆2781億円に達し、過去最高を記録した。
内閣府が30日に発表した今年10月の消費動向調査によると、二人以上の世帯を対象とした消費者態度指数(季節調整値)は、前月比で0.7ポイント低下し36.2となった。これにより、消費者マインドは改善に足踏みが見られる状況となっている。
9月分の貿易統計(速報)によると、輸出が前年同月比で1.7%減少した。自動車や鉱物性燃料の輸出が落ち込んだことが主な要因。
総務省が29日に発表した9月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月から0.1ポイント低下し、2か月連続減少した。同日に公表された一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は1.24倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。