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血管新生と戦い、がん細胞の成長を抑える食材
いわば、血管新生作用のアンバランスを防ぐことは、がんを含むさまざまな病気を防ぐことと同じなのです。科学者たちは、植物由来の化合物を組み合わせて血管新生を妨害し、がんを予防することは、がんと闘うための有効かつ有望なアプローチであると信じています。
私たちが普段食べているものには、いくつかの強力な血管新生作用のある因子が豊富に含まれています。
1.ポリフェノール
●ケルセチン:タマネギ、ブロッコリー(カリフラワー)、リンゴ、ベリー類などの野菜や果物、オリーブオイル、赤ワイン、お茶などに含まれています。ケルセチンは、内皮細胞の増殖、移動、血管新生に影響を与え、抗血管新生化合物として、腫瘍の血管新生に的を絞った効果が示されています。
皮膚がん治療用の栄養補助食品としてのケルセチンに基づく臨床試験がクリニックで進行中であり、2023年に結果が発表される予定です。
●プルネチン:タマネギ、ベリー類、ハーブなど多くの植物に含まれています。プルネチンの生物学的活性には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用があります。また、血管新生阻害剤でもあり、その効果は様々な種類の癌で実証されています。
●緑茶ポリフェノール:緑茶の定期的な摂取は、特定の癌のリスクを低減させる可能性があります。緑茶ポリフェノールには化学予防作用や血管新生抑制作用があり、緑茶ポリフェノールに含まれるカテキン類は非常に強い血管新生抑制作用を示すことが分かっています。
●ヒドロキシチロソール:ヒドロキシチロソールは、バージン・オリーブオイルに含まれるフェノール化合物で、天然の血管新生阻害剤として、バージン・オリーブオイルの主な有効成分の1つです。
2.テルペン系栄養素
テルペン類は多くの野菜や果物に含まれており、その中でもウルソール酸やカフェストールは代表的な抗がん作用を持つ成分です。
●ウルソール酸:いくつかの生物活性があり、その抗血管新生作用が証明されています。ウルソール酸は、ローズマリー、ビーバーム、バーベナ、オレガノ、セージなど、いくつかの食用香辛料植物の葉に含まれています。リンゴやクランベリーなど、一部の果物にもウルソール酸が含まれています。
●カフェストール:カフェストールは、コーヒー豆や無ろ過コーヒーに含まれ、それ自体に抗炎症作用や抗ガン作用があります。また、臍帯静脈(さいたいじょうみゃく)内皮の細胞外血管の形成を阻害することも分かっています。
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