がん患者の7割が5年以上生存 新報告書

2026/01/17
更新: 2026/01/17

がんと診断された人の多くが、診断から5年以上生存する時代が、初めて現実のものとなった。これは、これまでの数十年と比べて大きな前進だ。

この成果は、アメリカのがん統計をまとめた「Cancer Statistics 2026」と題する報告書で明らかになった。同報告書は、がん分野の権威ある医学誌「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に最近掲載され、米国におけるがんの生存率が大きく改善していることを示している。

米国がん協会(ACS)の上級科学ディレクター、レベッカ・シーゲル氏は声明で、「現在では、がんと診断された人の10人中7人が5年以上生存している。1970年代半ばには、その割合は半分に過ぎなかった」と述べた。シーゲル氏は、この改善の背景として、数十年にわたるがん研究の積み重ねにより、医師がより効果的な治療手段を手にするようになったことを挙げている。

この節目は、2015年から2021年に診断されたがん患者に当てはまり、この期間に診断された症例の約70%が、5年以上生存すると予測されている。

一方で、がんの発症数自体は緩やかに増加しているとACSは指摘する。2026年の新規がん患者数は210万人と予測され、2025年の約204万2千人から増加する見込みだ。がんによる死亡者数も、2025年に予測された61万8千人から、2026年には62万6千人を超えるとされている。

専門家は、がん患者数の増加や、集団間の格差といった課題が依然として残っており、今後も取り組むべき課題は多いと警鐘を鳴らしている。

生存率が大きく改善したがん

特に大きな改善が見られたのは、かつて致死率が高いとされていたがんだ。1990年代半ば以降、多発性骨髄腫、肝臓がん、肺がんでは、5年生存率が大きく向上している。

進行がん全体で見ると、5年生存率は1990年代半ばの17%から35%へと倍増した。ACSは特に、悪性黒色腫(メラノーマ)、直腸がん、肺がんにおける改善を強調している。悪性黒色腫と直腸がんでは生存率が2倍以上に上昇し、進行した肺がんでも、生存率は局所進行例で20%から37%に、遠隔転移例では2%から10%へと改善した。

一方、膀胱がんと子宮がんについては、過去10年間で5年生存率がわずかに低下している。

増加するがん患者数への懸念

こうした進歩がある一方で、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、悪性黒色腫、口腔がん、膵臓がん、子宮がんなど、いくつかの一般的ながんでは新規患者数が増加している。2025年の約204万人から2026年の210万人への増加は、人口構成の変化と、懸念すべき傾向の両方を反映している。

ノースウェル・ヘルスがん研究所の医療腫瘍学部門責任者であるリチャード・カーバジャル医師は、エポックタイムズの取材に対し、「がんは高齢者に多いため、人口の高齢化が発症数の増加に影響している」とした上で、「同時に、若年層で特定のがんが増えているという、懸念すべき傾向も見られる」と語った。

若年層で増加しているがんには、乳がん、前立腺がん、大腸がん、子宮体がんなどが含まれるという。

カーバジャル氏は「なぜ若い世代でがんが増えているのか、その理由はまだ分かっていない」と述べた。

シティ・オブ・ホープの早期発見・予防バイオマーカー部門責任者、スーザン・L・ノイハウゼン氏は、若年発症がんの要因を特定するため、さらなる研究資金が必要だと指摘する。

同氏は、「マイクロプラスチックやPFAS(いわゆる永遠の化学物質)など、さまざまな仮説はあるが、どの環境要因や生活習慣が増加を引き起こしているのかを特定するのは難しい」と語り「大腸がん検診の開始年齢はすでに引き下げられ、早期発見にはつながるが、若年でがんが発症する理由そのものは解決されていない」と述べた。

ノイハウゼン氏は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の「All of Us」研究プログラムのような大規模研究が、若年発症がんの増加や、依然として残る格差を解明する手がかりになる可能性があると述べている。

治療の進歩が生存率を押し上げる

ノイハウゼン氏は、生存率の改善において「精密医療」が重要な役割を果たしていると指摘する。精密医療は現在も進化を続け、実臨床での活用が広がっている。

検査技術の進歩により、がんの発症リスクや進行の速さ、成長を促す要因を特定できるようになり、患者一人ひとりのがんに合わせた治療が可能になっている。

特に進行がんの生存率向上には、がんの原因となる異常を標的とした治療法の進歩も大きく寄与している。近年では、免疫の働きを高めてがんと闘う免疫療法が導入され、顕著な生存率の改善が見られている。

ノイハウゼン氏は、「新しい治療法の効果は、これまでにない水準だ」と述べ、「こうした進歩は、NIHや米国立がん研究所が基礎研究や橋渡し研究を支援してきた成果であり、それが実際の治療に結び付くことで、生存率の向上につながっている」と強調している。

予防と早期発見の重要性は変わらない

米国がん協会の監視・調査担当バイスプレジデントであるアーメディン・ジェマル氏はエポックタイムズに一部のがんで発症率が上昇しているものの、早期発見と効果的な治療によって死亡率を下げることは可能だと語った。

ジェマル氏は、「発症率が増えていても、がんを早期に見つけ、非常に効果の高い治療を行えれば、死亡率は低下する」と述べている。

報告書によると、米国のがん症例のおよそ40%は、喫煙、過体重、飲酒といった、生活習慣の改善によって抑えられる可能性のある要因に関連している。

また、居住地域もがんリスクを左右する重要な要因とされ、生活習慣の違いや医療へのアクセスの格差を反映している場合がある。Color Healthの最高医療責任者レベッカ・ミクサッド医師はエポックタイムズに対し、「例えば、男性の肺がんの発症率は、州によって3倍から4倍の差がある」と指摘した。

検診による早期発見も、予防と治療の両面で重要だ。がんは早期に発見されれば、治癒が期待できる場合が多い。代表的な検診方法には、乳がんのマンモグラフィー、大腸がんの内視鏡検査、肺がんの低線量CT検査、子宮頸がんのパップテスト(細胞診)などがある。

ミクサッド氏は、「侵襲の少ない新しい早期発見の方法として、『リキッドバイオプシー』がある。血液検査でがんの兆候を捉える手法だ。すでに、がん治療後の早期再発を見つける目的で使われており、がんがさらに広がる前に治療を再開できる」と説明した。

一方でジェマル氏は、高度ながん医療へのアクセス不足や社会経済的要因が、人種間の格差に依然として大きな影響を与えている点を強調する。

ジェマル氏は「この成果は祝うべきだ。がんと診断された人の10人中7人が5年以上生存するのは、これが初めてだ」と語った。ただし、毎年210万人以上が新たにがんと診断され、50万人を大きく超える人が亡くなっている現状を踏まえ、「まだ多くの課題が残っている」と強調している。