ジョンソン英首相の後任を選出する与党保守党の党首選の第5回投票が20日実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。ロンドンで撮影(2022年 ロイター/Henry Nicholls)

英保守党党首選、スナク氏が首位維持 トラス外相と決選投票へ

[ロンドン 20日 ロイター] – ジョンソン英首相の後任を選出する与党保守党の党首選の第5回投票が20日実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。

2位にはトラス外相が付け、スナク氏とトラス氏が全党員による決選投票で対決することになった。

スナク氏は初回投票から首位を維持しているが、約20万人の党員の間ではトラス氏を支持する声が優勢のもよう。

モーダント通商政策担当相は3位となり、落選した。

投票結果の発表後、トラス氏は議員らに謝意を表明し「私は勝つためにこの選挙に参加する。首相になった場合は初日から全力で取り組み、党をまとめ、党の価値観に沿った政治を行う」と述べた。

スナク氏はツイッターに「私に信頼を寄せてくれた議員に感謝する。昼夜を問わず、全国に我々のメッセージを伝えるために働くつもりだ」と投稿した。

トラス氏にわずか8票差で敗れたモーダント氏は、しばしば醜い主導権争いを繰り広げる党に団結を呼びかけ。「政治は簡単ではない。私たちは今、党を統一し、なすべき仕事に集中するために協調しなければならない」とする声明を発表した。

トラス氏が支持を伸ばした背景には、EU離脱の積極的支持に転換したことと、減税を提案したことがあるとみられる。また、ジョンソン首相辞任のきっかけとなった一連の閣僚離反の口火を切ったスナク氏では次回選挙で野党労働党に勝てないとの見方も有利に働いた。

ただ、トラス氏がロシアに対し極めて強硬な姿勢を取っていることから、二国間関係の緊張が危険な水準にまで高まると懸念する向きもある。

一方、スナク氏は、新型コロナウイルス禍で英経済のかじ取りを行った功績が幅広い評価を獲得。決選投票に向けてもその点を強調するとみられる。ただ、勝利するためには、自身が資産家であるため増税を厭わないという印象を払拭する必要がある。党内からも、資産家であることが中道左派の労働党の格好のターゲットになるとの懸念が出ている。

第5回投票の結果は以下の通り。

候補者 得票数

スナク前財務相 137

トラス外相 113

モーダント通商政策担当相 105

関連記事
イタリアのウルソ企業相が、EUの2035年以降のエンジン車販売禁止計画について見直しを2025年から来年に前倒しするべきと表明。環境相も「企業や労働者が将来を見通せるようにするため」と強調
EUが7月5日から中国製EVに課した新関税により、7月の登録台数が減少。特にMGモーターとBYDには最大46.3%の関税が可能性があり、Dataforceによると7月の登録は前年比9.7%減。欧州委員会は中国の不十分な対応により高関税を課しており、EUと中国の交渉の結果次第で11月に関税が恒久化する可能性がある。
イタリアが開発したレアアースを使用しない新型EVモーター「Spinrel」は、EU市場で中国依存を減らし、環境影響も削減する可能性を持つ。この技術はEUの重要原材料法により、原材料の自立性強化とリサイクルの推進が期待される。
パヴェル・ドゥロフ氏は、ソーシャルメディア「テレグラム」の創業者であり、複数の国籍を持つ。彼はフランスで拘留され、マネーロンダリングや過激派活動などの容疑で捜査を受けている。ドゥロフ氏は、約155億ドルの資産を持ち、フランス、ロシア、UAE、セントキッツ・ネイビスの国籍がある。
8月26日、フランスのマクロン大統領は、TelegramのCEOであるパベル・デュロフ氏の逮捕に政治的な動機は […]